自己分析から始まる師走のドレスアップ
Dries Van Noten、Jean Paul Gaultier、Yuhan Wangを知り、己を知れば年末のスタイルは万全
- 写真: Nick Barr

年末にかけ、クリスマスに忘年会など、平日も週末もイベントが増えてくる。特別な時間にふさわしい服は、普段とは違う特別なものでありたい。あなたのこだわりは、どこにあるだろうか。シルエットか、素材か、はたまたブランドのスタイルか。6つのアイテムにおいて、デザイン性を細部にわたって解説してみたので、これを機に、自身の満足ポイントを探ってほしい。これだと思える1着と出会うには、自分を知ることから始まる。自分が心から楽しめるシャツやドレスを着て、1年の最後を幸せな気分で迎えよう。

画像のアイテム:シャツ(Dries Van Noten)
ドリス ヴァン ノッテンといえば、色彩豊かで、重厚感にあふれたフラワープリント。その類稀な装飾センスを別の手法で発揮したアイテムが、このブラック シークイン シャツだ。服の輪郭自体はオーソドックスで、クラシックを踏襲するブランドの精神にふさわしい。テキスタイル全体を覆い尽くすスパンコールは圧巻だ。荘厳な黒い煌めきは、スポットライトを必要としない。この服そのものが光となる。

画像のアイテム:ダブルジャケット(Gucci)
ナイトシーンに映えるスタイルを幾度も発表してきたグッチ。パープル ダブルジャケットも、過去の名作に並ぶアイテムである。主流のオーバーサイズシルエットとは一線を画す、ボディラインをなだらかになぞるフィットシルエット、テキスタイルの紫と対比するラペルの黒いベルベットと黒いくるみボタンが魅惑的だ。幅広のピークドラペルが胸を強調し、妖艶な個性がいっそう輝く。

画像のアイテム:ジーンズ(Jane Paul Gaultier)
デビュー以来、世界を驚かせてきたジャンポール・ゴルチエのアヴァンギャルド精神は、カジュアルウェアの王様のジーンズでも不変だ。白いアンダーウェアが露わになっていると目を疑うも、トロンプルイユプリントによる虚構だと気づく。このボトムを穿き、華やぐ12月の街を歩けば、道ゆく人々は驚くに違いない。ジーンズに仕掛けられたサプライズは、一足早いクリスマスプレゼント。

画像のアイテム:ベスト(Stanley Raffington)
中綿入りベストに用いられる表地は、ナイロンやポリエステルが一般的だろう。だが、ロンドンの奇才チャールズ・ジェフリーのもとで研鑽を積んだジャマイカの新星スタンリー・ラフィントンは、そこに一捻りを加える。メリノウールを混紡したリブ編み生地を使用し、お淑やかな上品さを添えた。ただし、そのままクリーンには仕上げない。膨らみを持ったバルーンフォルムが階層的に作られ、異形とも言えるボディが完成する。

画像のアイテム:セーター(Jil Sander)
ルーシー・メイヤーとルーク・メイヤーの就任以来、ジル サンダーから常に感じられるのは、微かな美しき違和感。このシャギーニットで注目すべきはシルエットだ。大きく落ちたドロップショルダー、コンパクトな袖口、シェイプするウェストから広がるボディラインは、スレンダーとも、オーバーサイズとも言える曖昧さ。異端の造形だけが抽象的なのではない。リアルでシンプルな服にも抽象性は宿り、その姿はいつもエレガント。

画像のアイテム:ジャケット(KNWLS)
フェミニンから逸脱するKNWLSに、スウィートな世界は必要ない。SS1 シアリングジャケットは、シープスキンの力強さを引き出す。着丈が短いために上半身が強調され、肩先が丸く厚みを帯び、袖は余裕を持たせた幅の袖口によって逞しく映る。首元からは衿も排除され、迫ってくるのは潔さ。華やかなウィメンズウェアと異なる軸のコレクションは、甘さを望まない人々のユニフォームである。

画像のアイテム:ドレス(Yuhan Wang )
ユハン ワンはレース素材を多用したドレスを、クラシックの枠には収めない。それは、このマキシドレスが証明している。ウィメンズドレスの伝統であるロング&リーン シルエットが、パターンワークの創意工夫によって生まれ変わった。斜めの切り替えとギャザーを駆使して、体をドレープで包み込み、その美しさを儚げな青いレースが引き立てる。甘美なムードの奥にあるのは、創造へのあくなき挑戦心だ。

画像のアイテム:ジャケット(KHAITE)
チェストでは左身頃のみアシンメトリーに、ウエストでは左右の身頃にシンメントリーに配置されたジッパー。前身頃から見た袖は身頃から一続きの形状で、後ろ身頃では一見するとセットインだが、それはヨークによる錯覚で、実際は前袖と同様のキモノスリーブ。フロント右腰切り替え線のみのフラップ、裾のタブ、すべてがいらないようで、なければ物足りない。カイトのThe Shallin ジャケットは、視線と思考が彷徨う。
SSENSEのLINE公式アカウントでも、日本未入荷のアイテムや、旬のアイテム、注目の新進ブランドなど、独自の切り口でキュレーションしてお届けしています。LINEでファッションの「未知」を体験してください。
新井茂晃は神奈川のテキスト デザイナー。2016年より「ファッションを読む」をコンセプトに、ファッションデザインの言語化を試みる『AFFECTUS』を主宰し、『TOKION』、『装苑』でも記事を執筆している
- 写真: Nick Barr
- 文: Shigeaki Arai
- Date: November 24, 2023

