冬は惜しみなく贈る季節

ジュリア・フォックスが語る、ホリデーの過ごし方と将来の展望

  • 写真: Chris Maggio
  • スタイリスト: Briana Andalore
  • インタビュー: Emilia Petrarca

「私も私の友人達も、クリスマスは盛大にお祝いするの」とジュリア・フォックス(Julia Fox)は言う。ニューヨーク生まれのイットガールは、俳優、モデル、ポッドキャスターとして多彩に活躍し、今や回顧録の著者という肩書まで付いたが、ホリデーシーズンには幾分家庭的になる。とはいえ地味ではない。プレゼントも食べ物もやることも「全力投球」だ。大勢の人を自宅へ招き、息子のバレンティノを連れてニューヨークのクリスマスを象徴するロックフェラー センターのツリーやダイカーハイツのイルミネーションを見に行き、もちろんイーストビレッジの名物フレンチ ビストロLucienでクリスマス ディナーを楽しむ。

生まれ育ったフォックス家のクリスマスは、豪勢なホリデーイベントではなかった。母はイタリア出身だったが、大半のイタリア系アメリカ人家庭のように「7匹の魚の饗宴」でクリスマスイブを祝うこともなかった。フォックスは今、子供時代に失ったクリスマスの時間を取り戻している。

自分で作る予定の料理と今年も買う予定のケーキやクッキー、贈るプレゼントと受け取るプレゼントなど、今年のホリデーシーズンの過ごし方のほか、お仕置き部屋のSMプレイの女王様として働いていた日々のことや母親であること、そしてもちろん、これまでのスキャンダルについて赤裸々に綴った新刊回顧録のこともフォックスが語った。彼女の2023年は多くのことに感謝する良い年だったが、心はもう、楽しみな将来へ向いている。

Julia 着用アイテム:コート(Jacquemus)ピアス(Ottolinger)

エミリア・ペトラルカ(Emilia Petrarca)

ジュリア・フォックス(Julia Fox)

エミリア・ペトラルカ:あなたがクリスマスに必ずやることは?

ジュリア・フォックス:クリスマスは友人達と一緒に盛大にお祝いするの。プレゼントだって全力投球だし、とにかくホリデーというもの全般に対して全力投球。多分、子供時代に実現しなかったクリスマスを、今、取り戻してるんじゃないかな。バワリーホテルへ泊まったり。あそこで迎えるクリスマスの朝は、すごく特別だから。でも今は自分の家でやってる。部屋に入りきらないくらい人がいっぱい来るわ。招待するのは、大抵、実家が遠くにある人とか家族と疎遠になってるらしい人たち。

あなた自身はニューヨーク生まれだから、クリスマスはニューヨークで最高の時期のひとつだって知ってるよね。

そう、私の大好きな時期。他所の出身の人たちがみんな帰省して、生まれながらのニューヨークっ子しか残ってないから、静かよね。今年はロックフェラーセンターのクリスマスツリーをバレンティノに見せて、彼ももう大きくなったからスケートリンクへも連れて行くつもりよ。それからダイカーハイツのイルミネーション。これは絶対外せない。そのあと、Lucienでクリスマスディナーだな。

ホリデー用のお料理も作るの?

去年はお料理しなかったと思う。すごく忙しくて、作る暇がないうちに終わっちゃった。でも今年は、ズッキーニ入りのベジタリアン ラザーニャとキーライムパイを作るつもり。パイは甘いほうが好きだから、ライムよりレモンの量を多くするのとフィリングにホイップクリームを混ぜるのが秘訣よ。Veniero’sへも行く。あそこには季節ごとにすごく美味しいケーキがあるけど、私はアプリコットとアーモンドのケーキが大好きで、ティーンエイジャーの頃から毎年欠かさず買ってるの。それと、ウェストビレッジにあるRocco’sのレインボークッキー。食べて、テレビを観て、お喋りして、たまにはトランプや「ヘッズアップ」で遊んだり。クリスマス映画はあまり観ない。古臭いものを観てる時間なんかないわ。

子どもの頃にもらったクリスマスプレゼントで、最高だったのは何?

うちの両親はあまり高価なプレゼントはくれなかったけど、一番嬉しかったのは10歳か11歳の頃にもらった初めてのラップトップかな。安いバージョンのPC。それで「ザ シムズ」をやってたわ。あのゲームが大好きでね。どんどん家を建てて、家具を選んで、すごくきれいにしてた。

「ザ シムズ」の中では完璧な家庭にしなきゃ気が済まない人だった? それとも家を燃やしちゃうような人?

家を燃やして、プールに飛び込ませて、プールから出る梯子を外しちゃう人だった。

拡張パックも買った?

買ってたけど、おかしなことに、チートコードを見つけたら急に興味がなくなって。裏技を使うのはおもしろいけど、ゲームの魔法も失せちゃうね。

魔法と言えば、サンタは信じてた?

ううん、作り話ってずっとわかってたし、そう公言してた。そういう子だった。

都会で育つと、「暖炉へ? どうやって入るのよ?」みたいになるよね。

そう、辻褄が合わない。

大人になってからもらったプレゼントで、特に思い出に残ってるものは?

そうね、前のボーイフレンドから、初めての自分の車をもらった時のことを覚えてる。赤いコンバーチブルのメルセデスベンツ。レストランで一緒に食事したあと、あるガレージの前を通りかかったら、その車があったのよ。リボンが付けてあって、すごくロマンチックだった。それが特に印象に残ってる。ていうか、大金持ちの男性と6年も付き合ったから、CartierやらCHANELやら、プレゼントはたくさんもらったわ。あとで売るしかなくなって、今はどれも残ってない。だけど何かが自分のものになって、あとで手放さなきゃいけなくなるのも、ある意味ですごく詩的なの。そういう経験をすると、それほど物に価値を感じなくなるから。状況が許せば手放さなかっただろうけど、プレゼントされたものに思い入れはなかったわね。単に「高価だった」というだけ。

カニエ(Kanye)からもらったバーキンは、まだ持ってる?

持ってる。でも、それまでにもうバーキンは持ってたから、格別大したことじゃなかった。彼にとっての意味のほうが大きかったと思う。

じゃあ、それほど高価じゃないけど、もっと心から嬉しかったプレゼントは?

アーティストの友達が多いから、私のために作ってくれるアートは嬉しいわ。手作りのもの、壁に飾れるもの、ちょっとしたアクセサリー、コレクションできるもの。私、そういうほうが高価なプレゼントより好きかもしれない。

最近、友達にあげたプレゼントで、最高だった自信があるのは?

ブリアナ・アンダローレ(Briana Andalore)にプレゼントしたマドンナ(Madonna)の写真集『Sex』。

息子さんへのプレゼントもたくさん買うママ?

もちろんよ。バレンティノは今トラックに夢中な時期だから、数えきれないくらいトラックのおもちゃを買ってる。彼のその時その時の好奇心に合わせて、好きなものが変化していくのを眺めてるの。例えば、去年はポケモンが好きだったけど、今はもう卒業。あの子は本を読むのも大好きだから、本もたくさん買ってるわ。

バレンティノからあなたへのプレゼントもある?

ある。花を摘んでくれるのよ。可愛いでしょ? 人と分け合うことも上手。父親譲りね。とっても優しいの。

クリスマスツリーは本物派、それとも偽物派?

本物のツリーを買ってる。オーナメントはずっと前から集め続けてるから、今は一大コレクションよ。セクシーなサンタとか下品な妖精とか。酔ったサンタやSMプレイの女王様のミセス・クロースも。かなり卑猥なのをeBayや街中の安物の出店で見つけてくるの。

ところで10月に回顧録が出版されたわね。書くのに長くかかった?

何年もかかった。すごく大変で、もう少しでゴーストライターを使いそうだったけど、回顧録を出すのはずっと前からの念願だったから、どうにかやり遂げたわ。

過去を振り返るのは辛かった?

ええ。あんなに自分をさらけ出すのは、本当にきまり悪かった。でも、本を書くんだったら100%正直になる、そういう誠実さが必要だったのよ。当然、自分の中から全部出し切って、扉を閉めて、前へ進み出すことでもあったから、ある意味、猛烈なカタルシスにもなった。過去にしがみつかないで、未来へ踏み出すことにワクワクしてるの。

本の中で特に紹介したい部分は?

一番おかしいのは、ハイスクール時代の私がSMの女王様の仕事をもらった章だと思う。喧嘩やらSMプレイ業にありがちなトラブルやら、色んなゴタゴタがあった当時を振り返るのはもちろん気分のいいことじゃないけど、楽しい面もあったわ。それ以外には、ちょっと気まずい箇所もあるし、母親になることについて書いた部分もある。母親の部分は、子どもがいる人なら誰でも理解できるし、読むことで孤独感が和らぐと思う。母親になる時って、それぞれに感じ方が違うから、自分ひとりきりの体験みたいな気がするのよ。

母親である読者に何を読み取ってほしい?

母親が置かれる環境って、母親であること以外に選択肢がない、母親であることが最優先、みたいな場合が多いと思うの。とにかく母親である、それだけ。私は、母親であること以外の自分のアイデンティティを守るために、必死で戦わなきゃいけなかった気がする。私は母親だけど、それは私の一面に過ぎないわ。その他に、私はアーティストであり、クリエイターであり、扱いにくい女でもある。もちろん、息子は何より大切だけど。

「私はアーティストであり、クリエイターであり、扱いにくい女でもある。もちろん、息子は何より大切だけど。」

最近の『ニューヨーク マガジン』の特集記事に、自分が親になった場合も友達が親になった場合も、友情を持続するのがとても難しくなるって書いてあった。

それ、そのとおり。私は今、新しい友達なんか作れないし、友達付き合いも狭まってくもの。だけど、繋がりは前より強いの。だから、質は向上するけど、量は減る。

母親に限らず一般読者に伝えたいことは?

人生を変えるのに遅すぎることはない、ということ。どんな目に遭っても、恐れを手放して、自分を信じること。自分の中から出たものが返ってくるのよ。物、お金、知恵、親切、寛大な心、 何でもそう。まず自分から与えなくちゃ、手には入らない。

啓蒙本みたいだね。スキャンダルなんかも出てくる?

もちろんゴシップも扱ってる。でも、先入観を持たずに読んでほしいの。登場する人物に悪い人はひとりもいないのよ。ちょっと困ったことをやらかしたかもしれないけど、悪人じゃない。

「まず自分から与えなくちゃ、手には入らない。」

Julia 着用アイテム:コート(Jacquemus)ピアス(Ottolinger)

では、今後の計画は?

本当にやりたいのは、これからも書き続けること。ただし脚本。監督にも興味がある。プロデュースも大好き。実はもう動き始めてる脚本があって、すごく期待してるのよ。『Lipstick Palm』ってタイトルで、ふたりの女の子がすっかりハイになった挙句、誤ってパパ活の相手を殺しちゃう話。ジェットコースターに乗ってるみたいにクレイジーな展開なの。2017年に友達のサラ・アップル(Sara Apple)と一緒に書いたのが、今になって誰かの目に留まって、読んだ人がすごく気に入ったんだって。そういうことがあるのよ。だから私は、いつもみんなに「とにかくやってごらん」って言うの。どこへ行き着くかわからなくても、きっと最後は居場所が見つかるから。だからとにかく作り続ける。目的意識さえ持ってたら、必ず目的が見つかるものよ。

ファッションは? コラボやブランド立ち上げの予定はない?

そうそう、今、ネットワーク放送のテレビ番組に取り掛かってるの。本当に私が作る、ファッション ショー番組。おもしろくて、やる気を刺激されると思うわ。私、以前からタオルをドレスに変えちゃうようなアップサイクル動画を出してたんだけど、それが人気になってテレビへ進出したって感じ。とにかく笑えて、意欲を刺激しながら元気をくれる番組。『プロジェクト ランウェイ』みたいにキャリアを賭けた熾烈な争いを見せる番組じゃなくて、気取らずに、独創性を羽ばたかせる内容にするつもり。

いつか自分のブランドを立ち上げると思う?

ないわね。前にやったことがあるけど、ものすごく大変だったもの。他のことをすべて犠牲にしなきゃいけなかった。もしかしたら、もう少し先になって、子どもも手が離れて、時間の余裕があったら、やるかもしれないけど。

9月のニューヨーク ファッション ウィークで、いくつかのショーに姿を見せてたよね。今のニューヨークで一番エキサイティングだと感じるものは?

そうね、どんどん新しい人たちがやって来て、大勢の若者たちがスタートを切っていくのが、ニューヨークの素晴らしいところだわ。私自身、とても刺激される。みんな、何かを見つけるためにニューヨークへ来るのよ。私がニューヨーク以外の場所へ引っ越すことは絶対ないな。やってみたけど、ダメだった。

最後に。もしも北極に行ったら、どれくらい持ちこたえられると思う?

ああ、私、夏のほうが断然好き。でもファッションが引き立つから冬もいいよね。コート、ハット、重ね着、ブーツ。ファッションに関する限り、冬のほうが俄然リッチよ。逆に夏の間は、私なんか文字どおりボクサーショーツとTシャツだけだからね。何も言わないで、わかってる。まぁ、どんな気候でも私は大丈夫。カーディ・B(Cardi B)の名言どおり、「ホットガールは寒さを感じない」んだから。

  • 写真: Chris Maggio
  • スタイリスト: Briana Andalore
  • インタビュー: Emilia Petrarca
  • セットデザイン: Rosie Turnbull
  • ヘア: John Novotny
  • メイクアップ: Julian Stoller
  • ネイリスト: Nori Yamanaka
  • 写真アシスタント: Justin Mulroy、Justin Sarinana
  • デジタルオペレーター: Geoffrey Leung
  • スタイリング アシスタント: Nim Del Valle、A'Kai Littlejohn、Lou Salazar Castillo
  • セット アシスタント: Chazz Foggie、Tyler Gilbert、Alvin Manalo
  • ヘア アシスタント: Sonny Molina
  • プロダクション: Lauren Noonan / ArtProduction
  • 翻訳: Yoriko Inoue
  • Date: November 13, 2023