冬のストリートを
庭園にするダウンジャケット

Mackage、Kwaidan Editions、
Gucciが12月の街並みに花を添える

    ファッション最大の楽しみは着ることだが、着用したジーンズやカーディンは、周囲の人間の目を惹きつけることがある。見慣れた形のシャツにも関わらず、色彩豊かなフラワープリントに魅了され、足を止める。そこで感じるのは、美しい服が見られた嬉しさ。その瞬間、ストリートは美しい花々が生えたガーデンになる。ここに揃った6着のアイテムを身につけ、高層ビルが次々に開発される現代都市に、ファッションのエレガンスを咲かそう。

    モデル着用アイテム:ダウンジャケット(Mackage)

    キルティング加工の素材で仕立てたフォルムは、ほんのりと丸みを帯びたAラインを形づくり、ボリュームのあるシルエットが特徴のダウンジャケットに、優しさと柔らかさを添える。だが、マッカージュによる最大の仕掛けは、淡く甘い花びらを思わせるピンクに染まったナイロンサテンだ。このアウターを着用した人と遭遇すれば、冬の寒さに震えた体は、胸の奥からじんわりと温かさを覚えるだろう。

    画像のアイテム:ジーンズ(Kwaidan Editions)

    シックな服を選びがちな冬だからこそ、ダイナミックなデザインを手に取りたい。フローラル ジーンズは、ゴブラン織りの高級ラグに勝るとも劣らない重厚感で、インテリアのアクセントとして使いたくなるほど。だが、これは服だ。やはり室内で愛でるだけでは、もったいない。灰色の寒空の下、街ゆく人々にもカイダン エディションズの華麗な美を鑑賞してもらおう。

    モデル着用アイテム:カーディガン(Gucci)

    コットン糸で編まれたオーソドックスなケーブル編みが、懐かしさと温かみを伝え、着丈の短さとスリムなシルエットから生まれる、しとやかな着こなし。赤や黄の花刺繍には、広大な敷地に咲き誇る無数の花々とは違う、ささやかな可憐さがある。最新のトレンドファッションが行き交う街で、あえてコンサバティブかつフローラルなカーディンガンを着て歩く。グッチガーデンの開園だ。

    モデル着用アイテム:シャツ(Endless Joy)

    黒いシルクサテンにプリントされた、ポピーにも見える真っ赤な花から迫ってくる感覚。毒のある不気味さで、裾に並ぶイエローのトライアングルが刺々しく、痛々しい。だが、巡る思考と渦巻く感情が不思議と心地よい。エンドレス ジョイに袖を通すことは、アート作品を鑑賞するのと同じく、クリエイティビティに身を委ねる行為なのだ。

    モデル着用アイテム:ダウンジャケット(Mackage)

    マッカージュの手にかかれば、アウトドアウェアはより強く都会的な香りを纏う。フロントを直上するファスナーは、ハイネックを力強く立ち上がらせ、ナイロンサテンの光沢は、スモーキングジャケットのようにドレッシーだ。ヒップを隠す絶妙の丈で、ボリューミーなシルエットを軽やかに見せる。そして、花々が育つ土のように、テキスタイルを渋く染めるグリーンが、このダウンジャケットの洗練を際立たせる。

    画像のアイテム:ブーツ(Amy Crookes)

    機能性重視の服を選んだ日は、足元をエイミー クルックスのサイケなブーツで飾る。ピンクの花柄は、本来ならかわいく見えるものかもしれない。だが、素材の実験から着想を得るニューヨークブランドは、一筋縄ではいかない。黒いストレッチサテンは全体にシャーリングが施され、甘いはずの花々は歪なゆがみを生み出す。美しいものを、美しく見せない。そこにきっと、これからの新しさが眠っている。

    新井茂晃は神奈川のテキスト デザイナー。2016年より「ファッションを読む」をコンセプトに、ファッションデザインの言語化を試みる『AFFECTUS』を主宰し、『TOKION』、『装苑』でも記事を執筆している

    • 文: Shegeaki Arai
    • Date: December 8, 2022