人工的な花を着る
Curves by Sean Brown、edenworks、
Y/Projectが、色褪せた花を育む

人類の歴史上、初めてドライフラワーを作った人間は、色の褪せた花びらを見て何を思ったのだろう。太陽の光を浴びて咲き誇る瑞々しさだけが、花ではない。枝葉が枯れ、豊かな色彩が薄れた命にも、人は惹きつけられる。美しさを失った花の名状しがたい魅力に、あなたは何を思うだろうか。

画像のアイテム:ラグ(Curves by Sean Brown)
ラグは開花し、色は混じり合い、溶け合い、濁る。カーブス バイ ショーン ブラウンが教えた調和の失った彩りを、濡れた路上で発見する。赤、青、黄と様々な花びらが重なり合っていた。木々で咲く美しさが消失した花を、見下ろし続ける。

画像のアイテム:ドライフラワー(edenworks)
ドライフラワーとなった紫や赤の花びらは色彩が抜け落ち、これからさらに徐々に鮮やかさを失っていく。エデンワークスは、命が朽ちていく姿を鑑賞させる。

モデル着用アイテム:シャツ(ERL)
平面的で奥行きのない黄色いフラワープリントを見ていると、銭湯の壁に描かれたペンキ絵を眺めているような気分になる。あなたはERLのシャツに描かれた花柄に、何を思い浮かべるだろうか。

画像のアイテム:シングルイヤカフ(Y/Project)
耳元の黄金の輝きに目をこらして、そこに咲くハイビスカスに気づいた。だが、すれ違いざまに横から覗き見ると、イヤカフの側面は思った以上にトゲトゲしく、刺さると痛そうだ。ファッションを通じて人々の視界を歪めるワイプロジェクトは、花の美しさにも捻りを加える。

画像のアイテム:フラワーベース(Maiden Name)
メイデン ネームのフラワーベースに挿せば、どんなに色鮮やかな花でも、その存在感は薄れていくだろう。不穏で澱んだ抽象造形が、生の美しさを飲み込む。なすすべもなく主役の座を奪われた主役を眺めるのもまた一興。

モデル着用アイテム:スカート(Nanushka)
ナヌーシュカはコンサバなミディアムスカートで斬新な感性を肯定する。雨で泥にまみれ、土に埋もれ、色をくすませた花たち。多様な感覚が個性として認められる今、そんな風景に美しさを感じることを、誰が否定できるだろうか。
新井茂晃は神奈川のテキスト デザイナー。2016年より「ファッションを読む」をコンセプトに、ファッションデザインの言語化を試みる『AFFECTUS』を主宰し、『TOKION』でも記事を執筆している
- 文: Shigeaki Arai
- Date: April 14, 2022

