テクニカル アウターウェア解体新書
CP Company、The North Face、Entire Studiosの性能と効能を読み解く

高いレベルの機能性を備えるテクニカル アウターウェアは、アウトドア領域のブランドだけにとどまらず、ストリートブランドも取り組む冬のマストアイテムに発展した。今、ファッション界の最前線では、どのようなダウンジャケットやマウンテンジャケットが、開発されているのだろうか。メンズウェアとウィメンズウェア、双方から、注目の8アイテムを紹介したい。

画像のアイテム:ダウンジャケット(C.P. Company)
Baffledとは、 C. P. カンパニー独自の構造技術を指す。本来ならステッチを用いる箇所にテーピングを使用することで、縫い目からダウンの脱落を防ぎ、ジャケットの保温性能を向上させている。表地には、耐久性、防水性、透湿性に優れたナノリップストップ ナイロンのパーテックスシールドを使い、さらに高機能化。Baffled ダウンジャケットは、C. P. カンパニーの叡智が結集したアイテムと言えよう。

画像のアイテム: ダウンジャケット(POST ARCHIVE FACTION (PAF)).
ダウンジャケットの表面に現れたシワは、表地の裏側に配置したゴムバンドを、約180箇所も閂止めで縫い止めて表現した技巧的なディテールだ。サイバーなテクニカルウェアを得意とするポスト アーカイブ ファクションは、3桁のステッチに耐えられる強度と、付属を多用しても可能な限り軽量に仕上げるため、摩擦に強く格別の軽さを誇るナイロンを選択。素材のスペックを、特徴ある外観作りに応用したロジカルな手法である。

画像のアイテム: ジャケット(Goldwin).
ゴールドウィンは、スキーウェアとアスレチックウェアの領域を技術力でリードしてきた。ブルーが映える中綿ジャケットは素材にブランドの信条を表す。Dermizaxは高いレベルの防水性と透湿性を備え、ストレッチ性にも優れたテキスタイル。急激な気候の変化に襲われるのは、アウトドアシーンだけとは限らない。高い機能性を持つシティウェアとして、ツートンカラーのアウターは街中でも活躍するに違いない。

画像のアイテム: ダウンジャケット(Herno).
ヘルノのLaminarシリーズは、サルトリアの技術と高機能素材が一体化したコレクション。温かなグースダウンを使用したキルティングは、撥水性を持つナイロンタフタにひと工夫を凝らす。生地の表面に、コーティング加工を施して防水性能をさらに高め、水に弱いダウンを突然の雨からも守る。光沢でスマートに見えるシルエットという魅力に加えて、スペックを高めるこだわりがなんとも心憎いアウターだ。

画像のアイテム: ジャケット(Dime).
繻子織りの生地は滑らかな肌触りと、優美な光沢が美しい一方で、摩擦に弱いというデメリットを持つ。だが、耐摩耗性に優れたポリエステルを使って織ることで、繻子織りの弱点を補完するテキスタイルが完成した。秀逸な強度を持つシルキータッチの生地で、美観と機能を両立させるKnowtec ジャケットは、クリーンなスケータースタイルを実現させてきたダイムならではの1着。

画像のアイテム: ジャケット(The North Face).
GTX Mountain ジャケットに使用された2層構造のゴアテックス®は、表地についた水を浸透させず、水滴として転がり落とすDWR加工を、環境に懸念のあるPFC (過フッ素化合物とポリフッ素化合物) を使用せずに施している。衣服は人体に触れるプロダクトであり、自然に配慮して生産する必要がある。人間と地球を犠牲にせず、ハイスペックウェアを実現するザ ノース フェイスの精神は揺らがない。

画像のアイテム: ダウンジャケット(Moncler).
モンクレールは、外部機関によって、産地や生産ルートなどの明確化、品質管理の徹底が認定された製品のみに与えられるDIST認証のリサイクルダウンを採用するなど、熱心にサステナビリティに取り組んでいる。ダウンは、1羽の水鳥からわずかな量しか採取できない希少素材。このAdur ダウンジャケットも、ダウンはリサイクルされたガチョウの羽毛を使い、撥水加工にもPFCを使用しないことで、ブランドのステートメントを徹底している。

画像のアイテム: ダウンジャケット(Entire Studios).
ダウンには、毛と毛が絡み合わないことで空気を大量に含み、ふんわりとかさ高くなる性質がある。この特徴を、挑戦的プロポーションを得意とするエンタイア スタジオは、ダウンジャケットの造形に活かす。上半身を柔らかに覆い尽くすフォルムは、水鳥の羽毛が持つ弾力性が視覚化されたかのようで、浮遊感にあふれている。保温性や吸湿性と一緒に、贅沢な軽さと柔らかさを堪能できるSSENSE限定アウターの完成だ。
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新井茂晃は神奈川のテキスト デザイナー。2016年より「ファッションを読む」をコンセプトに、ファッションデザインの言語化を試みる『AFFECTUS』を主宰し、『TOKION』、『装苑』でも記事を執筆している
- 翻訳: Shigeaki Arai
- Date: October 27, 2023

