エフロン・ダンジグとケイド・ホルトは
AMIが似合うアートなベストフレンド

フィラデルフィアで出会ったふたりの友情は時と場所を超えて今も続く

  • インタビュー: Sami Reiss
  • 写真: James Brodribb

「作り出す」という土台から芽生えた友情は、何を糧にして育っていくのだろう? 一緒に何かを作ることで、ますます距離が狭まるのだろうか? それとも、一緒にいることでアートが触発されるのだろうか? おそらく、両方が少しずつ関わっているのだろう。

エフロン・ダンジグ(Efron Danzig)はニューヨークが拠点のモデル、スケートボーダー、アーティスト。ケイド・ホルト(Kade Holt)は、フィラデルフィアで活動するミュージシャン。ふたりは、友として別々のことをしながら、時には一緒に活動をする。何年か前、Eatというバンドを結成した時に知り合った。ノイジーでパンクなダンス ミュージックのグループで、ホルトがベース、ダンジグがボーカルだったが、その後の年月でふたりの活動は異なる分野へ分かれていった。ホルトは今も音楽に打ち込んでいる。ソロでも活動しているし、Primal Rat Screwのベースも担当している。弾けるようなエネルギーが1990年代のSebadohやエクストリームなメタルのデモ盤を彷彿とさせる、地元フィラデルフィアのバンドだ。一方、ダンジグは多くの分野に進出し、複数の肩書きを持つアーティストになりつつある。モデルとしてMarniのランウェイを歩き、Calvin Kleinのルックブックに登場した。スケーターとして、スケートフィルムで有名なウィリアム・ストロベック(William Strobeck)の新ブランドVIOLET!に姿を見せている。ボードに乗った時のダンジグは、水を得た魚のようだ。スピーディーに、流れるように、テクニックを使いこなし、パワーと自信に溢れている。時間があれば、写真を撮ったり、詩を書いたり、服を作ったりする。いくつもの活動を同時進行させることもある。ホルトと一緒のこともある。

フィラデルフィアにいるホルトとファッション ウィークためパリにいるダンジグが、ふたりの友情、それぞれの活動や一緒に過ごす時間から生まれるものを語った。

サミ・レイス(Sami Reiss)

エフロン・ダンジグ(Efron Danzig) ケイド・ホルト(Kade Holt)

サミ・レイス:クリエイティブな分野で、ふたり一緒の活動は何?

エフロン(以下、E):音楽。一緒にプレイする。
ケイド(以下、K):エフロンがフィラデルフィアに住んでた頃は、ふたりともEatってバンドにいたんだ。僕の友達のウィル・マクゴラン(Will McGoran)もメンバーだった。

どんなバンド?

E:何て言うか、優しいパンクじゃなくて、ゴリゴリのやつ。
K:パンクの要素がもろに出てるノイジーなダンスパンク。そのバンドとは別に、僕とエフロンはたわいない曲も作ってた。YouTubeにまだ何曲か残ってるかもな。ほとんどはどこかへ消えてったけど。その他には、エグいのも作ってた。エフロンの服にがんがんパッチを付けたりさ。エフロンが着る物は、いつも僕が手伝ってたんだ。
E:そうそう。ふたりで服にもちょっと手を出してた。パッチを作ったり、それをプリントして売ったり。遊びとしてね。「やるぞ!」じゃなくて、単なる暇つぶしみたいな。
K:ほんと、面白いからやるって感じだった。
E:家でゴロゴロして、ハイになって、「そうだ、こういうのを作ろうよ」ってなる。音楽に関しては、一緒にバンドをやってたから曲を作ってたよね。たいてい私が歌って、ケイドがベースラインを作る。ドラマーが何かを作ることもあったし。それでバンドとして集まって、練習して、ショーをやってた。かなりの回数をやったよ。

創作への向き合い方がふたりの友情の決め手なのかな? ふたりは同じ場所で育った親友? それともふたりのアーティスト?

K:Eatを始めたのが知り合ったきっかけで、それからつるむようになったから、確かにアーティストの面がちょっとはある。

創作の面で、最近はそれぞれどんな活動をしてるの? それで生計を立ててる?

K:僕は、アート系の趣味と言うか、捌け口として音楽をやってる。それがほとんど。そっちからの収入はそれほどないから、生活費はあちこちでキャリアとは全然関係ない片手間の仕事を見つけて稼いでるよ。Primal Rat Screwというバンドでベースをやって、自分の音楽もたくさんやってる。とは言っても曲を作るだけで、最近はほとんどバンド中心だな。エネルギーがそっちへ向いてる。
E:私の生活費はほとんどモデルからの収入で、クリエイティブな活動はスケート。詩を書いたり、写真を撮ったり、服なんかを作るのも好きだし。要は、アートっぽいことをあれこれ(笑)。

エフロン、そういうクリエイティブな活動に優先順位はある?

E:一番の中心はスケート。詩と写真はただの趣味。面白いからやってるだけ。

詩を書き始めたきっかけは?

E:私がカレッジをドロップアウトする前に知り合った人がたくさんを詩を書いてて、詩を書くことや優れた詩人について教えてくれたんだ。それが2019年。最近よく読んでるのは、キャシー・アッカー(Kathy Acker)とかジャック・スパイサー(Jack Spicer)。あ、それからカヴェ・アクバー(Kaveh Akbar)。『Calling a Wolf a Wolf』って詩集を読んだけど、すごく良かった。悲しい詩集。

詩を書く時のエネルギーは、スケートやモデルをやる時とは違う?

E:もちろん。だけど…詩も悲しげじゃなくたっていい。暗くない詩はたくさんあるし、面白い詩や皮肉っぽい詩だってアリ。

創作の分野によって、脳や体の使い方も違ってくる? それとも何をやる場合も同じ?

E:スケートをやってる時は、その日はもう厄介なことは何もしなくていい気分になる。面倒なことは忘れて、のんびりしてりゃいいっていう解放感。詩ではそこまでいい気分にはならない。同じようにゆったりした感じにはならない。スケートをやってる時は、力がみなぎって最高にリラックスするんだ。すごく解放されてると思う。うまく説明できないけど。

撮影されてる時もカメラがない時と同じ感覚?

E:どっちでも同じ。正直に言うと、カメラがないほうがいいけど。

Kade 着用アイテム:タンクトップ(AMI Paris)

スケートする時間はどれくらい? 1日中とか、2時間程度とか?

E:日によって違う。朝、家を出て1~2時間滑ったら、その後は普通に過ごして終わる日もあれば、昼頃に出かけて夜の8時か9時まで帰らない日もある。その時その時だな。そこが楽しいところ。行く場所を選ばない。

街にいる時はどんな生活なの? 例えばニューヨークにいる時、君にとって楽しい1日はどんな日?

E:そうだな、公園でブラブラするとか? ニューヨークは毎日が違うから。フィラデルフィアにいた時には、ある程度決まった1日の流れがあった気がする。家の前の階段に何時間も座り込んだりさ。
K:のんびりタバコをふかして。あ、ちょっと吸いたくなった。室内だけど。

Drink Arctic Splash.
かの有名なArctic Splashを飲んだり。

K:そういうこと。

ケイド、音楽でまだやってない、これからやりたい、ってことはある?

K:もちろんだよ。もっと上達する余地が大いにあると思ってる。プレイ全般でもっとうまくなりたい。楽器の演奏ひとつ取っても、終わりのない道なんだ。将来、バンドをやっていなくても、ギターはうまくなれるよう弾き続けるだろうな。

曲を作る時、ジャンルみたいなことを気にする? それとも、湧き出てくるものに任せる? 曲作りの手順は?

K:ジャンルのレッテルを貼るのは好きじゃないんだ。まずアイデア、それからサウンド、何であれ頭に浮かんでくることを曲にする。サウンドに名前を付けることはしない。その名前から抜け出せなくなることもあるから。ある意味では分類するほうが簡単だけど、ジャンルに結び付けると、「なるほど、それ系ね」と決めつけられかねない。そうなったら最後、「それ系」から出られなくなる。自由に何かを作るかわりに、「こういう感じが僕の分野」って自分自身を決めつけることになる。

最近は何を聴いてる? どんなことが楽しくて、どんなことに刺激される?

K:僕と同じことをしてる友達とか、自分のやりたいことをやってる友達と一緒にいることだな。自分のやりたいことを追いかけてるやつと一緒にいるのが刺激になる。一緒にいない時でも、見てるだけでも刺激になる。どんな音楽がインスピレーションになってるかは、説明するのが難しいな。聴くものがしょっちゅう変わるから、「これ」と答えられない。例えばちょっと変わった新しいアルバムを見つけるだろ。そうすると、それだけを1か月ぶっ通しで聴き続けて、最後は嫌になる。で、1年後にもう一度聴くと、「あれ、前とは違う」って気がする。一度は嫌いになったのに、何か月もぶっ続けで聴いてたせいでまた好きになる。Mr. Bungleのアルバムもそう。ピエロがジャケ写のやつ。あれをものすごく聴いた。今聴いたら嫌気がさすだろうな。
E:私もケイドと同じ。とにかく友達。友達がやってること、作ってるものを見るのは楽しいよ。

何かを作り出すクリエイティブな活動は、日常の他の部分にも影響を及ぼす? 例えばパッチを付けるような単純なことでも創作に繋がっていく? スケートとかモデルとか曲作りに反映される?

K:うん、確かにそういうことはある。自分がどう感じてるかによるけど。
E:絶対ある。元々、私が服を作り始めたのは服に詩を書きたかったからだもんね。パッとしなかったから、他のことをやり始めたけど。どんなことでも影響し合うよね。アートをやったら、人生のあらゆることに影響すると思う。影響を及ぼさなきゃいけないってわけじゃなくて、影響を与える可能性はあるってこと。

モノの見方にも影響する?

E:もちろん。世界の見方が影響される。スケートで世界の捉え方が変わる。見る角度が変わる。写真は光の見方を変える。詩は言葉への向かい合い方を変える。

写真と言えば、カメラを持ち歩いてるの? iPhone、それともフィルム?

E:大抵はフィルム。自分のポートレートが多いけど、友達や好きな人たちを撮るのも好き。楽しいよ。

ふたりが顔を合わせて喋ったのは、いつが最後なの?

K:確か、去年のPrimal Rat Screwのショーの時じゃないかな。
E:ああ、そうだ。ニューヨークのTrans-Pecosでやった時だ。

今後、一緒に音楽をやる予定はある?

E:どうかな。楽しいだろうけど、私、今はもうやってないからね。ニューヨークは練習場所がないから余計に難しいってのもあるけど、バンドにいた時も、私は歌うだけで楽器は演奏したことがない。だからバンドで歌わなくなってからは「どうでもいい」って感じだったし、今じゃまったく頭にないんだ。今やってる別のことをやるほうがいい。音楽にはすごくエネルギーが要るし、バンドをやってた時は時間もいっぱい費やした。今はできないと思う。

ふたり一緒にやったクリエイティブな活動で、一番印象に残ってること、最も誇りに思うことは何?

K:Eatをやってた頃、ツアーがすごく楽しかったのを思い出すよ。一番長いのは3週間ちょっと続いたんじゃなかったかな。
E:あれは最高に楽しかったよね。何て言うか、友達と一緒にいて音楽をやるのがとにかく楽しかった。
K:ずっとパーティーが続いてるみたいな感じで、ただ楽しいの一言。友達と長いツアーに出るなんて体験は、それまでなかったから。

Sam Reissはニュースレター『Snake』で家具やデザインについて執筆し、『GQ』、『ESPN』、『Wall Street Journal』などで健康およびその他のテーマについて執筆している。『Snake』のニュースレターは『Sheer Drift』としてShining Life Pressから出版されており、クリエイティブ コンサルタントやパーソナル コーチングも行なう

  • インタビュー: Sami Reiss
  • 写真: James Brodribb
  • スタイリング: Esther Matilla
  • クリエイティブ ディレクション: Michael Quinn
  • モデル: Efron、 Kade
  • ヘア: Tomo Jidai / Home Agency
  • メイクアップ: Allie Smith / MA World Group
  • ネイリスト: Nori Yamanaka / See Management
  • セットデザイン: David de Quevedo / Cadence
  • セットデザイン アシスタント: Sarah Possamai
  • 第1写真アシスタント: Carlos Vigil
  • 第2写真アシスタント: Anthony Concklin
  • デジタル技師: Kasandra Enid Torres
  • スタイリスト アシスタント: Jessica Marciniak
  • キャスティング: Blair Broll
  • ポスト プロダクション: Picturehouse + thesmalldarkroom
  • プロダクション: The Morrison Group
  • 翻訳: Yoriko Inoue
  • Date: October 25, 2023