ナードに寛ぐ21世紀

ASUS ROG x Alan Walker、
Devialet、Tom Dixonで偏愛を伝える

    自分の好きに熱中する。この楽しみは、本来なら自分だけのもので、他者からどう見られるか、どう思われるかなど、気にしなくていいはずだ。だが、現実はなかなかそうはいかず、他人の視点を気にしてしまうのが人間だ。とはいえ、21世紀という時代を創りあげてきた巨大テックカンパニーの創業者たち、時代の先端を突き進むカリスマたちが、誰が何を言おうと、誰にどう思われようと、自分の好きに愛情と情熱を注ぎこみ、ナードな姿勢で世界を変えてきたのも事実。たまには偏愛を肯定しよう。現代の寛ぎはそこにある。

    画像のアイテム:ノート パソコン(Asus)

    ゲーミング ノートパソコンで人気を得るエイスースは、18歳にして世界のトップシーンへと上り詰めた音楽プロデューサー、アラン・ウォーカーとの最新コラボレーションで過去の記憶をくすぐる。このゲーミングノートのデザインに、アーケードゲームが全盛だった時代を思い出す人もいるのではないか。最先端ばかりが熱狂の対象とは限らない。今から数十年も前の時代のデザインならではの魅力があり、それに魅了される人がきっといる。

    画像のアイテム:スピーカー(Devialet)

    パリ オペラ座のロゴと筐体が描く色のコントラストは、1875年に誕生した歌劇場の豪華絢爛な黄金と、跳躍するバレエダンサーを飾る衣装の白を思わせる。だが、この抽象造形がワイヤレス スピーカーであることを工業製品的外観の背面が物語り、正面と側面から見たミニマムな姿とのギャップが意識を惹き込んでいく。芸術への愛とオーディオ機器への愛を、同時に満たしたい。そんな偏愛が愛しくなるデビアレのデザインだ。

    モデル着用アイテム:バスローブ(Tekla)

    オーガニックコットン製のテリークロスで仕立てられた高級なバスローブは、バスタイムを終えた束の間のひとときを上質な心地よさで満たすだろう。普段なら、そのまま安眠へと向かうが、今、自分の好きに没頭しているあなたは違う。ラップトップを開き、世界中の才能が創り出したコンテンツに夢中になり、いつしか暖まったはずの体は冷めてしまう。しかし、それこそが現代の夢中。テクラはルームウェアと化したバスローブで、現代の冷めた熱を優しく包む。

    画像のアイテム:ローファー(Agnona)

    スティーブ・ジョブズは、常にハイネックの黒いカットソーを着た姿で有名だ。同じデザインの服を選ぶジョブズだったが、着ていたカットソーには自身のこだわりが込められていた。気に入った対象はとことん愛する。そんな姿勢を持つ者なら、アニオナのスリッパ ローファーに惹かれるだろう。無駄な装飾が一切ない潔いデザインは、思考の邪魔をしない。黒のスエードが色の情報も遮断し、あなたは自分の世界に熱中する。

    なんと贅沢な逸品だ。まるで化学の実験室のようなデザインだが、これは実験道具などではなく、自動ドリップ機能を持つコーヒーマシンである。加えて、起床時間を知らせる目覚まし時計の機能も内蔵している。Joy Resolve はこの奇妙なセットを、美しいミニマルテイストにデザインした。ミニマリズムも、アラームも、コーヒーも、すべてを満たす贅沢がこのマシンにはある。

    画像のアイテム:ディフューザー(Tom Dixon)

    黒い艶が生む光沢と輝きを抑制した黄金のブランドロゴから、茶道の茶器に通じる簡潔な美と宗教的荘厳が迫ってくる。忙しない現代、人々は精神の落ち着きと快適を求め始め、ヨガや瞑想など、東洋の文化が注目されるようになった。そこに香りの安らぎも加えよう。嗅覚から得られる安心感は、日々の活動に心地よい集中力をもたらす。トム ディクソンのディフューザーは、お香を焚くような神秘性も備え、心身を清らかにする。

    新井茂晃は神奈川のテキスト デザイナー。2016年より「ファッションを読む」をコンセプトに、ファッションデザインの言語化を試みる『AFFECTUS』を主宰し、『TOKION』でも記事を執筆している

    • 文: Shigeaki Arai
    • Date: December 8, 2021