ラベンダーのアクセサリーで
重たき愛の花言葉をまとう

Mounser、Nanushka、
Bottega Venetaが代弁する
純粋ゆえに時に病的な想い

    昔あるところに、美しい少年に心を寄せるひとりの少女がいた。少女は、ただひそかに少年を待ち続け、叶わぬ恋の末、ついに一輪のラベンダーになってしまった。その少女の恋心は「あなたを待っています」というラベンダーの花言葉として、今も残り続けている。パステルカラーの薄紫色は、一見可憐でありながら、どこか不健康とも思える仄暗い純粋さを想起させる。純度の高い愛はその純粋さゆえに、時にうら悲しい想いとなるのだ。

    画像のアイテム:ピアス(Mounser)

    「私に応えてください」

    最期、想いが報われないことを悟った少女は、ラベンダーに化ける前に、マウンサーのピアスのような大粒の涙を流しただろうか。中心にあしらわれる幻想的で大振りなオレンジのクリスタルは、狂おしいほどに純粋な少女のまなざしのようだ。

    モデル着用アイテム:ブラレット(Anna October)

    「優美」

    女性のフォルムがもとより持つ気品をより際立たせるアンナ オクトーバーのウェアは、女性らしさを強調することにより緊張感を漂わせながらも、艶やかなシルク使いで同時に心の余裕を感じさせる。その二面性は、妖しげな色とは裏腹に、精神的な安定をもたらすとされるラベンダーのミステリアスな香りに通ずるものがある。

    モデル着用アイテム:セーター(Nanushka)

    「期待」

    ラベンダーカラーという要素のみで潔く成立するナヌーシュカのニットは、たとえジャケットの下に忍ばせたとしても、スタイル全体を方向付ける強い軸になる。スタイルを支配するほどのアクの強さは、花に姿を変えてしまうほどに少女の心を支配した少年への「期待」のメタファーなのだ。

    画像のアイテム:フェイスローラー(Quiet Hours)

    「沈黙」

    静かな時間を意味するブランド名の通り、Quiet Hoursのフェイスローラーは自愛を通して日常に静寂をもたらす癒しのツールだ。物言えぬ一輪の花になった少女の沈黙が、悲しみに濡れたものではなく、傷ついた自分自身の心を癒す安らぎであれば良い。

    画像のアイテム:カードケース(Bottega Veneta)

    「疑惑」

    恋する人の心は常に考え事で揺るがされ続け、さまざまな疑念あるいは希望が、Bottega Venetaの象徴であるイントレチャートのように、ポケットの中で人知れず交錯していく。少年を待ち続けた少女のラベンダーへの変身は、彼女の想いを絶対に揺るぐことのないものへと昇華した、疑いようのない愛の形なのだろう。

    モデル着用アイテム:クロッグ(Crocs)

    「幸せが来る」

    待ち続けた少女の恋物語の最後が、彼女にとって救いのないものであったか、あるいは幸せであったのか知るよしもないが、足元のラベンダーを足蹴にしても、少年を追う一歩を踏み出す勇気が少女にあったなら、物語は少しでも良い方に転んだだろうか。踏みしめたラベンダーで染め上がったような鮮やかなクロックスカラーは、そんな別の物語への進展を期待させる。

    sushiはフリーランスのファッションライター。2018年に大学を卒業後、不動産デベロッパーにて不動産の開発業に携わる傍、同社の副業制度を利用し2020年よりライターとしてのパラレルキャリアをスタート。FASHIONSNAP.COMでもコラム「あがりの服と、あがる服」、「sushiのB面コラム」を執筆、連載中。Twitter(@odbodbodbodbo)でも活動

    • 文: sushi
    • Date: February 21, 2023