今、注目すべき
スニーカーのデザイン

Suicoke、Asics、Balenciagaに
足が疼き、手が伸びる

    ファッションの歴史において、これほど世界中で熱狂的に注目されるアイテムがあっただろうか。今やスニーカーは、単なるプロダクトの領域を超え、株や不動産のようにプレミアムが生じるアセットに変貌した。所有するスニーカーの価値が増大することは嬉しい。だが、スポーツシューズとして走るために作られた靴を、ただ集めてクローゼットにしまっておくのでは悲しい。こんな時代だからこそ、今一度スニーカーのデザインに注目しよう。機能美、カラーコンビネーション、装飾性と、視覚から受ける刺激に鼓動は加速し、足が疼く。モダニティを備えたスニーカーが、僕たちを待っている。

    画像のアイテム:スニーカー(Suicoke)

    履くことも脱ぐことも容易なスリッポンは、軽装で簡易なイメージだ。Suicokeは、そんなスリッポンのイメージを更新する。撥水性に優れたeVent®と中綿に使用されたシンサレートの断熱性が、足を雨からも寒さからも保護する。また、波打つラバーソールのデザインからは、歩幅を大きく、軽やかにする機能性が見てとれる。デザインを通じてテクノロジーを体感させるSuicokeが、現代人の足を守り抜く。

    画像のアイテム:スニーカー(BAPE)

    グリーン、ホワイト、レッドのカラーコンビネーションが目を引くアッパーは、シニカルにクールを笑うかのようだ。流れ星のように尾を引くブラックスターは、どこかコミカル。BAPEは世の中でカッコいいとされるものに、疑問を唱える。「面白いって最高だろ?」。エレガントでも、クラシックでも、ミニマリズムでなくてもいい。Block STAを履いて、世間の常識を飛び越えた場所へ飛び出そう。

    画像のアイテム:スニーカー(Nike)

    Nike Air Vapormax 2021 FlyKnit スニーカー

    歩いていて足がストレスを感じないこと。それがスニーカーの使命だ。Air Vapormax 2021 FlyKnitは、抜群のクッション性を備えたソールの力で軽快な歩行を実現する。Nikeのエネルギーはそこだけにとどまらない。アッパーを包むFlyknitと透明なラバーソールの外観は、見た瞬間から軽量感を脳内に想起させる。Nikeのモダンデザインは機能性を、体が感じる前から体験させるものへと進化させた。

    画像のアイテム:スニーカー(Asics)

    80年代を代表する名作映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、未来に過去に時代を駆け巡る。それと同様の世界を、AsicsのUB2-S Gel 1130は呼び起こす。トレンドを席巻したダッドスニーカーよりも一歩引いた装飾性。しかし、ミニマムなスニーカーと比べると、明らかにボリューミーだ。グレーとブルートーンのカラーはフューチャリスティックで、1980年代に夢見た未来のようだ。軽い混沌が心地よく目に響く。

    画像のアイテム:スニーカー(Balenciaga)

    Balenciagaでデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)はエレガンスに開眼し、アイデンティのストリートスタイルに気品が滲むようになった。だが、新スニーカー「ランナー」は、美醜の醜に光を当てるデムナ スタイルが、健在であることを知らせる。アッパーの表面は、遠くから見ればワニの皮膚を、近づけば蜂の巣を想像させ、うごめくバーガンディのラインは、蛇行する蛇のようだ。混濁の中に美を見出す奇才の感性は、衰えを知らない。

    画像のアイテム:スニーカー(adidas Originals)

    世界を覆ったパンデミックの脅威は人々の生活を激変させた。だが、変わってしまったリアルは、自分は何を大切にすべきかを振り返る機会にもなる。過去の記憶に意識が向かう中で見つけた、本当に自分が守りたいもの。クラシックなデザインに、伝統のスリーラインが映えるadidas Originalのローカットスニーカーのレトロな気分は、あなたの心をほのかに温かく照らすだろう。

    新井茂晃は神奈川のテキスト デザイナー。2016年より「ファッションを読む」をコンセプトに、ファッションデザインの言語化を試みる『AFFECTUS』を主宰し、『TOKION』でも記事を執筆している

    • 文: Shigeaki Arai
    • Date: November 10, 2021