思考を加速させる
白い配線と円盤のスピーカー
Vitesy、Transparent、Rahuaは、
背景をミニマリズムに染める

今回登場する6つのアイテムは、ボディに再生プラスチックを用いた空気清浄機、パラベンフリーでサルフェートフリーのシャンプーなど、いずれもサスティナブルな背景を持つ。一方で外観は、色は白やグレーなど無彩色を基調にして、複雑さは皆無のシンプルな形に仕上がっている。生産プロセスが重視される現代だからこそ、今一度デザイン性にフォーカスし、モノそのものが持つ個性に注目したい。簡素簡潔は、脳を刺激する。ミニマリズムがもたらす余白に、あなたは何を見て何を考える?

画像のアイテム:空気清浄機(Vitesy)
山中の木々や土に生える豊富な草花よりも、高層マンションのエントランスを彩る植栽に感じる美しさ。自然環境とは遠く離れた、コンクリートに囲まれた都市空間にグリーンが際立つ。Vitesyの空気清浄機は、滑らかでクリーンなホワイトのフォルムで緑葉の美を引き出す。

画像のアイテム:シャンプー(Everist)
ボトル型が多いシャンプー容器にあって、歯磨き粉を思わすEveristのチューブは実に個性的だ。歯を磨く生活必需品の容器を、シャンプー用に転用する。とても単純なアイデアだが、これまでの用途と変わるだけで創造性は生まれる。ミニマルデザインは、ただシンプルに作ることではない。ひとつのアイデアを直接的に表現した結果、たち現れるのが簡素なフォルムではないか。

画像のアイテム:デスクマット(Slash Objects)
道端に転がる石にも、よく見ると様々な色や質感など個性がある。Slash Objectsは凝灰岩のような色調のデスクマットで、小石の素朴な美しさを私たちに伝える。白と黒の斑点が凝縮された表面は、色鮮やかでないので、必要以上に心を刺激しない。心穏やかにいられるデスクなら、仕事で行き詰まった精神も解きほぐされそうだ。

画像のアイテム:キャンドル(1986)
帰宅してドアを開けると目に入る、シューズボックスの上のキャンドルホルダー。大理石のグレーとロゴプレートのゴールドが持つ素材の硬さと生々しさが、想像を掻き立てる。ひんやりとして静まり返った美術館で彫刻を鑑賞するような錯覚に陥り、靴を脱ぐのも忘れてしまう。脳内世界で、硬質なエレガンスを堪能させてくれた1986に感謝したい。

画像のアイテム:スピーカー(Transparent)
2つのスピーカーにつながる4本の配線は、この真っ白な長方形が機械であることを証明する。一方で、音響機器であることを忘れさせるような見た目は現代アートの作品そのものだ。あるいは、美術館で作品を眺めていたら、そこから自分の好きな音楽が高音質で聞こえてきたと考えてもいい。トランスペアレントは、白一色でスピーカーに芸術性を宿らせ、静謐なサウンドを空間に響かせる。

画像のアイテム:シャンプー(Rahua)
透明なボトル越しに見えるシャンプーは甘い蜜のように柔らかな光を発している。ボトル中央に配置されたラベルの白と黒が、黄金の液体とコントラストをなし、堂々としてエレガントだ。シャンプーの液体そのものに美しさがあるならば、隠すことなく露わにすればいい。複雑なテクニックを用いなくとも、人の目と心を捉えるデザインは実現できることを、ラウラウアは知っている。
新井茂晃は神奈川のテキスト デザイナー。2016年より「ファッションを読む」をコンセプトに、ファッションデザインの言語化を試みる『AFFECTUS』を主宰し、『TOKION』でも記事を執筆している
- 文: Shegeaki Arai
- Date: May 27, 2022

