子どもたちは未来を着る

Bobo Choses、Bonpoint、Off-Whiteが、
子供たちと共に時代の先へ歩く

    未来の行方が混沌とする今、世界のファッションは揺れている。ストリートウェア以降に、新たにメインストリームの波に乗るのは、華やかに装うエレガンスか、それとも緊張感から開放するリラックスか。時代の答えを探るファッション コンテクストに、キッズウェアはひとつの解釈を刻む。それはシックなファンタジーだ。夢見ているだけでは、この現実は越えられない。だが、現実を越えていくのは夢への憧れではないか。現実と夢を併せ持つデザインが、未来のファッションを示唆する。

    モデル着用アイテム:フーディ(Kids Worldwide)

    キッズウェアは「かわいい」と形容されがちだが、Kids Worldwideのフーディには上質な品格が滲み出している。その理由はフォルムにある。ほどよくスリムなシルエットとやや短いレングスのコンビネーションは、緩やかな寛ぎを生み出し、イエローは明るさを抑え、誇張な佇まいとは距離を置く。抑制されたエレガンス、洗練のフォルムがこの一着にはある。

    画像のアイテム:レイン ブーツ(Bobo Choses)

    Bobo Chosesのレインブーツは、夜空に浮かぶ太陽を想像させた。現実世界では起こり得ない景色が、ブーツの側面に描かれている。一度、合理性や効率といったものから離れてみよう。現実世界から遠く離れた場所に、ファンタジーはある。子どもたちはその夢を容易に見つけ出す。億劫な気分になる雨という現実を、このレインブーツはワクワクに変える。

    画像のアイテム:セット(Bonpoint)

    テリークロスの質感と、渋みのあるイエローに意識が奪われるが、ネックラインのディテールも負けず劣らずの存在感を見せる。後ろ身頃のネックラインは、左右の首元を通り過ぎると、前身頃のアームホールにまで伸長する。子どもを後ろから前へ温かく包み込むラップショルダーは、シンプルなデザインに完結させないBonpoinの創造的姿勢の表れだ。魅惑的な味付けはささやかに施された。

    画像のアイテム:スニーカー(ANGULUS)

    厚いラバーソールのスニーカーは、子どもの視線を高くして世界を広く見せ、同時に、大地を歩く足の負担を軽減する。ANGULUSのサポートは歩行時にとどまらず、ベルクロによって、靴を履く・脱ぐという行為も容易にする。スエードで彩られたダンディなムードを漂わせ、外観の美と靴に望まれる快適性を兼ね備えたキッズスニーカーなら、小さな足で踏み出す一歩は、心踊るものとなるだろう。

    モデル着用アイテム:セーター(Off-White)

    世界の兆候を逃さないヴァージル・アブローは、Off-Whiteで社会の変化を敏感に捉えたコレクションをシーズン毎に発表しているが、その姿勢はキッズウェアでも貫かれている。一見すると、明るいグリーンを軸にした迷彩柄。しかし、よく観察してみると、様々な人間が手を繋ぎ、身体を寄せ合い、踊っているようにすら見えてくる。まるでダイバーシティという現代の価値観が、投影されたかのようなセーターだ。

    画像のアイテム:バックパック(Molo)

    見た目はシンプルな形のバックパックだが、インパクトのあるタンのカラーリングと斑な模様が、絶妙なデザインバランスを披露している。この印象的なグラフィックは、見つめていると脳内に動物のイメージが湧き上がってくる。もしかしたら、それは架空の動物かもしれない。まさにイメージは創造の源泉。Moloは、無邪気で自由な世界は宝物なのだと教えてくれる。

    新井茂晃は神奈川のテキスト デザイナー。2016年より「ファッションを読む」をコンセプトに、ファッションデザインの言語化を試みる『AFFECTUS』を主宰し、『TOKION』でも記事を執筆している

    • 文: Shigeaki Arai
    • Date: October 12, 2021