SSENSEの2023年を振り返る
1年の歩みを刻んだ12本のインタビュー、ファッション エディトリアル、エッセイ

慌ただしい1年が終わると、過去へ流れ去った365日を浮かび上がらせるのは私たちが目にしたもの、読んだもの、耳を傾けたものだったりする。そこでSSENSEエディターたちで、2023年に足跡を印したエディトリアル記事を振り返ってみた。ウィレム・デフォー(Willem Dafoe)やエリカ・バドゥ(Erykah Badu)など、時代のアイコンへのインタビューから、次に登場する大物クリエイティブ ディレクターの考察、K-POPをはじめとするサブカルチャーの掘り下げまで、控え目に言っても、SSENSEのエディトリアル記事は非常に幅広い分野へ視線を向けた。なかでも特に印象深い12本の記事を、もう一度読み返してはどうだろう。

Erykah着用アイテム:ドレス(Pleats Please Issey Miyake)、トラウザーズ(Pleats Please Issey Miyake)、ジャケット(Issey Miyake)、サンダル(Rick Owens) 写真:Nick Sethi 冒頭の画像、Willem着用アイテム:ジャケット(LEMAIRE)、タートルネック(LEMAIRE)、 ジーンズ(LEMAIRE) and ローファー(LEMAIRE) 写真:Tom Kneller
「私の独創性が注目を集めることはわかってるの。みんなのインスピレーションになってるのも、みんなのムードボードに使われてるのも、知ってる。その対価を受け取ってもいい頃よ」。エレナ・ベルジュロン(Elena Bergeron)のプロフィール記事で引用されたバドゥの言葉だ。おいそれとは太刀打ちできない気概が、記事全体から滲み出てくる。バドゥ自身の言葉で、全身を飾る数々の魔除け、アンク、お守り、あらゆるアートの共通項としての「黒人であること」が語られる。

Suki着用アイテム:ジャケット(Y/Project)、ジーンズ(Martine Rose)、 シューズ(Coperni) 写真:Grace Ahlbom
過去10年で、スキ・ウォーターハウス(Suki Waterhouse)のキャリアはモデルから俳優へ、そして最近ではポップスターへと目覚ましく発展した。そんなウォーターハウスと対話したエミリー・カークパトリック(Emily Kirkpatrick)が、「イットガール」としてもてはやされた時期からファーストアルバム『I Can’t Let Go』をリリースするまでの道のりを追う。

Alex着用アイテム: トップス(Jacquemus)、スカート(Jacquemus)、 スニーカー(Jacquemus)、バケットハット(Jacquemus)、ソックス(Rick Owens DRKSHDW) 写真:Richie Shazam
アレックス・コンサーニ(Alex Consani)は、19歳という若さで天高く舞い上がった新星だ。あちこちのソーシャルメディアとファッション キャンペーンに引っ張り出され、すっかりお馴染みの顔になった人気モデルの個性が、ディヴァン・ディアス(Devan Diaz)の文から明るい輝きを放つ。ファッションの世界でトランスジェンダーの現状を認識する冷静と屈託のないユーモアが、コンサーニのなかではありのままに共存している。

モデル(左)着用アイテム:ドレス(Sandy Liang), ベール(Sandy Liang), ヒール(Christian Louboutin), グローブ(Versace)、ピアス(Simone Rocha) モデル(右)着用アイテム:テーラードジャケット(Bode)、シャツ(Han Kjobenhavn)、トラウザーズ(Han Kjobenhavn)、スニーカー(Nike), Versace ring、リング(Veneda Carter)、ブレスレット(Versace)、 ネクタイ(Tom Ford)、ベルト(Ferragamo) 写真:Tom Kneller
7月には、SSENSEブライダルのローンチを記念して5組のカップルが愛を語った。デートアプリを通じてロビー(Robby)と出会ったレイ(Ray)は、「愛することで、僕は人生について知っていると思っていたことを問い直して、放棄するようになった。そしてもっといいもの、僕自身や僕の周囲の人たちにもっと役立つものが生まれてくる」と言う。「3人の男性と一緒に、1本のワインと2本のマリワナ煙草を持ってカール(Carl)に会いに行ったのが火曜日。付き合ってた男性が家へ帰ったのが水曜日。カールと出かけたのが木曜日で、私のところへ越してきたのが土曜日」と教えてくれたデニス(Denise)とカールの出会いは、1980年代のことだ。

Willem着用アイテム:ガウン(Tekla)、 パジャマシャツ(Bode)、パジャマパンツ(Bode)、 シューズ(Bode) 写真:Tom Kneller
ヨルゴス・ランティモス(Yorgos Lanthimos)監督作『哀れなるものたち』の劇場公開に先立ち、ウィレム・デフォーへのインタビューで、マーベルが映画界に及ぼす影響、実習したという皮膚の縫合、デフォー「らしさ」をアレックス・フランク(Alex Frank)が質問した。「日常生活では、存在している必要はあるが、実存している必要はないんだよ。ありとあらゆる方法で注意は散漫になるし、ありとあらゆる方法で実存が曖昧になる。だが、演じている時の俳優のように、ゾーンに入っている時の俳優のように生きることができたら、素晴らしい実存になるだろう」というデフォーの言葉は、2023年のSSENSEインタビュー記事で、もっとも強く記憶に残る。

モデル着用アイテム:ポロシャツ(Wales Bonner)、スカート(Wales Bonner) 写真:Naila Ruechel
長い歴史を失うことなく常に進化を続けるジャマイカ ファッションを、先鋭デザイナーたちとの対話を通して、メッカ・ジェイムズ=ウィリアムス(Mecca James-Williams)が深掘りする。新人スタンリー・ラフィントン(Stanley Raffington)やメンズウェアで定評のあるマーティン・ローズ(Martine Rose)らが語るジャマイカのルーツは、近年のファッション史に大きなカルチャーの変革をもたらしている。

Lucky着用: ハット(SSENSE WORKS) 写真:Melissa Gamache-Rosales
2023年はSSENSEが創立20年を迎えた喜ばしい年。20年の歩みを記念して、SSENSEでお馴染みのデザイナーによる20点の限定アイテムが発売された。しかし、デザイナーもさることながら、SSENSEを支える社員にも敬意を表したい。そこで社員を代表して、20人のスタッフが、SSENSEでの体験談を披露した。1頭の愛犬も特別出演。

Kuntiana着用アイテム:ドレス(Simon Miller)、サンダル(Bottega Veneta)、サングラス(Versace)、ピアス(Paco Rabanne)、リング(Jil Sander) 写真:Michael the III
独創の達人であり、ビヨンセ(Beyoncé)のスーパーファンでもあるマイケル3世が、さまざまな記録を塗り替えた『ルネッサンス ワールド ツアー』をレポートし、当夜の熱狂ファッションをSSENSEの取り扱い商品で再現した。会場へ行けなかった人たちのために、ビヨンセのステージ衣装も詳細に解説する。

Tommy Cash、パリのSS24 Marine Serreのショーにて 写真:Swan Gallet/WWD Getty Images提供
ステッフ・ヨッカ(Steff Yotka)は、2024年春シーズンのショーを観終わって、「フロントロウに座っているのは次の大物クリエイティブ ディレクター?」と思案する。セレブがクリエイティブの大役に迎えられ、かつてなく多くのセレブたちがフロントロウを占める現在、そんな憶測も不思議ではない。だが、ファッションの現状分析は違う可能性も暗示する。SSENSEデジタル コンテンツ ヘッドの考察から、ファッション界の未来が垣間見える。

Getty / 写真: KMazur/WireImage
今年のテレビ界を湧かせた話題のひとつは、なんといってもHBO局のドラマシリーズ『THE IDOL/ジ・アイドル』だろう。出演したリリー=ローズ・デップ(Lily-Rose Depp)とエイベル・テスファイ(Abel Tesfaye)のルックを手始めに、ポップスターのファッションをアンナ・ゼインズ(Anna Zanes)が解説する。ブリトニー・スピアーズ(Britney Spears)、ジャネット・ジャクソン(Janet Jackson)、シザ(SZA)など、ポップスターが辿ったスタイルの変化から、大衆が真に深く切望するものが見えてくる。

前列(左から右へ):Antony Antoniou、Adya Nevatia、Najia Li Saad、John Allan、Aaron Esh、Meatball the Pekingese、Rokas Rach、Osman Ahmed、James Parkes 後列:Harry Power、Jamie Reid、Ana Viktoria Dznic、Ana Takahashi、Zac Klein、Calvin Holmes、TJ Sidhu、Fiona Hartley、Kat Austin、Jack Collins 写真:Chris Lensz
ロンドンで今一番エキサイティングな若手デザイナーに数えられるアーロン・エッシュ(Aaron Esh)に、SSENSEマネジング エディターのロス・スカラノ(Ross Scarano)がインタビューした。『コール オブ デューティ』の熱中プレイ、初めて手に入れたBAPEのスニーカー、インスピレーションの源などの話題から、コレクションに体現されるエッシュの在り様が明らかになる。

Coachellaにて、MUGLERの衣装を着るBLACKPINK 写真:Emma McIntyre/Getty Images for Coachella
今年は、特にファッションの分野で、ポップカルチャーに対するK-POPの影響がさらに増大した。BTS、BLACKPINK、NCT、aespa、Jeon Somi、G-Dragonらのビジュアルを手掛けるスタイリストたちへのインタビューは、K-POPに馴染みのない読者にとっても良い手引きになる。ヒュンジ・ナム(Hyunji Nam)は、今年9月に、SSENSE韓国ファッションブランド ガイドも執筆した。
- 翻訳: Yoriko Inoue
- Date: December 21, 2023

