SSENSE韓国ファッションブランド
ガイド

ファッション界を牽引するパワフルな韓国発ブランドそろい踏み

  • 文: Hyunji Nam、Alek Rose
  • イラストレーション: Tobin Reid

今、韓国のファッションシーンには溢れんばかりのエネルギーがみなぎり、追いかけるにも圧倒されそうな勢いだ。世界的なラグジュアリー ブランドが続々と新しい旗艦店を出店し、K-POPアーティストたちがファッションウィークの最前列に席を占める。世界的なストリートウェア界の巨人Supremeまでが、8月に韓国初の拠点を開設したほどだ。

2022年時点で、韓国は国民1人当たりのラグジュアリー ファッションへの支出額が世界最大だったが、一夜にしてそうなったわけではない。まず2000年代初め、実店舗で海外ブランドを扱っていたブティックが韓国の消費者の心をつかみ、その一方でファストファッション ブランドが流入して、それに伴う価格およびデザインの競争が国内ブランドの脆弱さを露呈させた。その後2010年代に入るとグローバルなオンライン プラットフォームの出現により「直購(チッキュ)」つまり海外からの直接購入が可能になり、国際的なデザイナーブランドの製品が韓国で簡単に手に入るようになった。こうして世界のトレンド、そして購買力の本格的な高まりと歩調を合わせるように、新しいタイプの韓国の消費者が誕生していった。さらにここ最近の10年で、私たちはまた新たな変化を目撃している。以前はラグジュアリーな服を求めて国外に目を向けていた韓国の消費者たちが、今、国内にはっきりと熱い視線を注いでいるのだ。

SSENSEにずらりと並ぶ30を超える韓国ブランドのラインナップは、市場がいかに拡大したかを物語っている。韓国のファッションブランドの世界は豊かな顔を持つ。パリ ファッションウィークのスケジュールに名を連ねるWooyoungmiのようなレディトゥウェアのブランドから、テックウェアやゴープコアのトレンドを作るブランドまでさまざまだ。

韓国屈指のファッションブランドたちは、さまざまなジャンルとサブカルチャーを見事に調和させ、韓国の国際色豊かな特色に光を当てる。そんなK-ファッションの王国にあって、唯一変わらないものが、その製造地だ。韓国ブランドについて語るとき、そのアジャイルな生産システムは看過できない。ソウルを中心としながら韓国全土に散らばるアトリエと工場が、韓国のラグジュアリー ファッションの強固な土台を形成し、精密さと品質で定評のあるコレクションの発展に一役買っている。

こうした消費者、カルチャー、製造システムの黄金の三角形を背景にコリアン ファッションの新たな一章が幕を開けた。SSENSEはこのエキサイティングな時代の先陣を切り、この波の行方を導くファッションブランドを紹介する。

設立:2014年
拠点:ソウル
Instagram:@ader_error
SSENSEより:韓国で高い知名度を誇るファッションブランドのひとつアーダーエラーは、原色とロゴの多用によって独特の美学を生み出してきた。この匿名のアート集団を構成するのはグラフィック デザイナー、イラストレーター、建築家など。そうした人材が着想の幅の広さや作品の完成度の高さの所以でもある。

設立:2016年
拠点:ソウル
Instagram:@amomento.co
SSENSEより:2023年において、アモメントの提案は爽快なほどにシンプルだ。シルエット、色、素材感に全神経を集中するブランドのコレクションは、着やすくて意図がはっきりしている。小物とレディースのレディトゥウェアを幅広く展開するアモメントなら、普段の装いに韓国ブランドを気軽に取り入れられる。

設立:2014年
拠点:ソウル
Instagram:@anderssonbell
SSENSEより:その名が示すように、アンダーソン ベルが着想源とするのは北欧デザイン。北欧の美学の特徴である無駄のない仕上げと抑制のきいた色彩を、現代韓国のセンスによって解釈し、対極のなかに調和を見出す。ネオンカラーの色彩、パッチワークといった要素によって、古典的なフォルムに革新がもたらされる。

設立:2019年
拠点:ソウル
Instagram:@dunst_official
SSENSEより:「無形の」という意味のダンストは、ジェンダーの枠を越え、あらゆる人にとって好ましい形と色彩を追求する。しかしその一方で、プレッピースタイルのような伝統的なテーマに刺激を受けて、魅力的な不調和の美を創り出しもする。そこには未来のベーシックとなるにふさわしいあらゆる特徴が備わっている。

設立:2019年
拠点:コペンハーゲン、ソウル
Instagram:@hgbbstudio
SSENSEより:HGBB STUDIO は、デンマーク出身のストリートウェア愛好家Tobias Billetoftと韓国人デザイナーのサンチャン・イ(Sangchan Lee)が設立し、同じ理想を掲げながらそれぞれの地域の影響を無理なくひとつにまとめ上げる。HGBB STUDIOのコレクションは実用的なデザインを基盤とし、素材やディテールに様式的な華を求めるのが特色だ。

設立:2014年
拠点:ソウル
Instagram:@hyeinantwerp
SSENSEより:デザイナーのヘイン・ソ(Hyein Seo)は、アントワープの王立芸術アカデミーに在籍中から頭角を現し、2014年、共同設立者のジノ・イ(Jino Lee)と共に自身の名を冠したブランドを立ち上げた。繊細で機知に富み、技巧と色気を感じさせるヘイン ソのコレクションは、参照した雑多な要素を取り込みながら全体の調和を生み出す手腕によって、現代のユースカルチャーの視点を提示する。

設立:2010年
拠点:ソウル
Instagram:@jkoo_official
SSENSEより:ユ・ジュー・ク(Yeonjoo Koo)とジン・ウー・チェ(Jinwoo Choi)の夫妻は、ロンドンの名門セントラル セント マーチンズに在学中に出会い、その後2010年にジェイ クーを設立した。スタイル面で古典的な紳士服の仕立てに負うところの大きいジェイ クーのショーは、男性らしさと女性らしさが共存する独自の表現によって、ソウル ファッションウィークでひときわ注目を集めている。

設立:2014年
拠点:タシュケント
Instagram:@j.kim
SSENSEより:ウズベキスタン人と韓国人の両親のもとに生まれたデザイナーのジェニア・キム(Jenia Kim)は、受け継いできた豊かな文化的背景を自身のブランドジェイ キムに取り入れている。伝統的な韓国の民族衣装とウズベクの民芸的要素を組み合わせることで、ブランド独自の美的表現が生まれる。その好例が、伝統的な花の形のカットアウトをあしらったパファージャケットやラウンジウェアといった現代的な服だ。

設立:2022年
拠点:ソウル
Instagram:@juuntaekim
SSENSEより:2022年に設立されたジュンテ キムは、ごく短期間で熱心な支持層を確立した。パンクな姿勢と端正なテーラリングへのこだわりが共存するジュンテ キムのコレクションには、親しみやすく、同時にひねりのきいた服が並ぶ。

設立:2007年
拠点:ソウル
Instagram:@juun_j
SSENSEより:デザイナーのジュン・J(Juun.J)は、Club Monacoでキャリアをスタートさせ、その後2007年に同名のブランド、ジュン. Jを設立し、韓国を代表するファッション ブランドへと成長させた。その成功に大いに寄与しているのは、入念に検討を重ねたデザインを軸とした、クラシカルなアイテムを主体とするコレクションの着まわしやすさだ。

設立:2017年
拠点:ソウル
Instagram:@_kanghyuk
SSENSEより:カンヒャクの魅力は、ひとつの製品、すなわちエアバッグを再利用したバックパックに集約される。2017年にカンヒャク・チョイ(Kanghyuk Choi)とサンラク・ション(Sanglak Shon)が設立したブランドは、野心的なビジョンと素材の探求の代名詞だ。

設立:2018年
拠点:ソウル
Instagram:@kijun_official
SSENSEより:キジュンはシーズンごとに新しい映画をコンセプトに掲げ、その空想上の衣装部門となってコレクションを制作する。それはファッションブランドという概念に対する新鮮な解釈であり、多様でありながら明確なテーマを持つコレクションに映し出されるブランド像の検証でもある。

設立:2016年
拠点:ソウル
Instagram:@maison_kimhekim
SSENSEより:デザイナーのキミンテ・キムヘキム(Kiminte Kimhekim)はフランスで学び、Balenciagaに採用され、2016年に自身のブランドキムヘキムを設立した。型破りなカット、ボリュームとサイズのバランスに思わず目を惹かれるコレクションに、デザイナーの経歴が現れている。

設立:2016年
拠点:ソウル
Instagram:@kusikohc
SSENSEより:SSENSEによるインタビューで、クシコックの創立者チョ・ギソク(Cho Gi-Seok)は、敬愛するブランドとしてComme des Garçons、Rick Owens、そしてAlexander McQueenを挙げた。クシコックのすべてのコレクションに見られる質感、色彩、フォルムの圧倒的な緊張感を読み解くとき、これらのブランドの影響に納得する。

設立:2009年
拠点:ソウル
Instagram:@lowclassic_seoul
SSENSEより:洗練された簡素さと平板さのあいだには微妙な境界線がある。そしてロウ クラシックがその線の正しい側にあるのは間違いない。ただし派手なグラフィックや、目を惹く色使いを期待するのは禁物だ。このブランドの真髄は、無駄のない実用的なシルエット、上質な素材、バランスのとれた現代的なディテールのあしらいにあるのだから。

設立:2016年
拠点:ソウル、ロサンゼルス
Instagram:@lvir_official
SSENSEより:古典とモダンのあいだのバランスを見つけることは、韓国のファッションブランドに共通する目標だ。機能性と洗練のマリアージュというルールに忠実なLVIRもその例外ではない。その結果、ジャンプスーツのようなワークウェア寄りのアイテムの隣に繊細なシアトップスが並ぶことになる。

設立:2019年
拠点:ソウル
Instagram:@neute.official
SSENSEより:「ニュートラル」という言葉から名づけられたニュートが展開する多様なフットウェアは、「日常の贅沢」というブランドのモットーを体現している。どんな場面にも馴染み、同時にビジュアルに明確な個性がある靴というのが基本的なスタンス。カウボーイ ブーツからフラットなバレエシューズ]に至るまで、ニュートのコレクションは流行に迎合することなく、時代の精神と共に変化していく。

設立:2017年
拠点:ソウル
Instagram:@nothingwritten.kr
SSENSEより:厚手のコーデュロイのトラウザーズやブークレ ニットのようなアイテムが、ナッシング リトゥンの主力アイテムだ。2017年にヨンジュ・イ(Young-Ju Lee)によって設立された韓国のラグジュアリーブランドは、シーズンを重ねながら、トラッドやクワイエット ラグジュアリーの流れが単なる流行ではなく、時代を超越したインスピレーションの源であることを証明している。

設立:2014年
拠点:ソウル
Instagram:@numbering_official
SSENSEより:韓国のジュエリーブランド界隈で存在感を放つナンバリング。ミニマルなデザインが主体のコレクションは、抑制と装飾の黄金バランスが見事なだけでなく、いずれも手の届きやすい価格設定が嬉しい。

設立:2018年
拠点:ソウル
Instagram:@openyy_official
SSENSEより:以前はTheOpen Productの名で知られていたOPEN YYは、ヴィンテージ製品という信頼の土台の上に築かれたソウル発のブランド。レトロなスタイルを再発見するOPEN YYは、非対称、立体的なディテール、質感の遊びに焦点を当てた表現性豊かな服作りを得意としている。

設立:2016年
拠点:ソウル
Instagram:@osoi_official
SSENSEより:記事の冒頭で述べたとおり、ソウルのファッションシーンの隆盛をもたらした鍵のひとつが、市内の腕のいい職人と工場の存在だ。オソイは、こうした高い技術力をもつ地元のアトリエを活用し、彫刻のように美しいレザーバッグを制作している。

設立:2018
拠点:ソウル
Instagram:@postarchivefaction
SSENSEより:ポスト アーカイブ ファクション (PAF)は、韓国のストリートウェアの代表的ブランドとして知られ、ゴープコア寄りのデザインが大きな支持を集めている。Off-White™との提携を果たしたPAFの未来はあくまで明るい。

設立:2003年
拠点:ソウル
Instagram:@pushbutton_official
SSENSEより:2003年に設立されたプッシュボタンは、このリストの中では年季の入ったブランドのひとつだが、だからといって分別くさいわけではない。創立者兼デザイナー、スンゴン・パク(Seung Gun Park)は、かつてK-POPスターとして活躍した経歴の持ち主。未来的でジェンダーレスなスタイルに滲み出るスターの輝きを見過ごすことは不可能だ。

設立:2015年
拠点:ソウル
Instagram:@recto_official
SSENSEより:レクトのコレクションでは、主にクラシカルなデザインをシンプルな単色が彩る。その結果生まれるのが、自己表現や装いのアクセント、個性的なスタイリングに取り入れられる、幅広い定番アイテムだ。

設立:2016年
拠点:パリ
Instagram:@rokhofficial
SSENSEより:韓国で生まれ、米国で育ち、ロンドンで学び、パリでブランドを設立したロック・ファン(Rok Hwang)は、それぞれの土地のもつさまざまな要素を身に着けている。その産物であるロクは、今や韓国屈指のラグジュアリー ブランド。CELINE、Louis Vuitton、Chloéで経験を積んだロックのデザインに、抑制された洗練が見て取れるのは言うまでもない。そこには古典的なフランスの美的センスへの傾倒が窺える。

設立:1988年
拠点:ソウル
Instagram:@solidhomme
SSENSEより:韓国がファッションとユースカルチャーの中心となるずっと前に設立されたソリッド オムは、35年ものあいだ国を代表するブランドとして先頭に立ってきた。しかしその年月で大きく変わったものはない。厳しい基準に沿って作られ、時を越えて輝きつづける服の象徴であるソリッド オムにとって、変化は不要なのだ。

設立:1990年
拠点:ソウル
Instagram:@system_studios
SSENSEより:1990年に創業し、2008年にメンズウェアに進出したシステムは、この30年間で不動のアイデンティティを築いてきた。その看板は、一見シンプルでも、目を凝らせば緻密なディテールと熟練の仕立ての技が際立つコレクションの数々だ。

設立:2010年
拠点:ソウル
Instagram:@thisisneverthat
SSENSEより:韓国にストリートウェアのブランドは数多あれど、真に世界の扉を開いたブランドは選ばれた少数にすぎない。そんななかで、定番デザインにこだわりユースカルチャーに明るいディスイズネバーザットは、グローバルなステージが活躍の定位置だ。

設立:2013年
拠点:ソウル
Instagram:@uniform_bridge
SSENSEより:ユニフォーム ブリッジが重視するポイントは、機能性、品質、手に取りやすさ。レトロなスタイルに触発されたコレクションが、トラッドなワークウェアを好む感性に訴えかける。それはこの半世紀、メンズウェアの中心であり続けてきたものでもある。

設立:2015年
拠点:ソウル
Instagram:@we11done
SSENSEより:ラグジュアリーファッションの概念を問い直すというミッションを掲げるウェルダンは、意表を突くグラフィック、膨張するシルエット、そしてストリートウェアとラグジュアリーの継ぎ目のない融合によって、コアな世界観を生み出している。

設立:2002年
拠点:パリ
Instagram:@wooyoungmi
SSENSEより:ウーヨンミは、デザイナーのウー・ヨン・ミ(Woo Youngmi)が思い描く理想の男性像を基に2002年に設立された。おそらくこのブランドの最も興味深い点は、ウーヨンミの理想の男性像が時と共に変化し、事実上、変わり続ける現代の男性性の研究になっていることだろう。

設立:2021年
拠点:ソウル
Instagram:@xlimlink
SSENSEより:コレクションを「エピソード」としてブランディングするエクスリムの仕掛け人たちは、シーズン毎に自らを取り巻くカルチャー像を新たに描き直す。スポーツウェアとストリートウェアの影響が際立つエクスリムの服は、若者版のStone IslandC.P. Companyの趣がある。

設立:2018年
拠点:ソウル
Instagram:@youngnsang
SSENSEより:young n sangは、途方もなく巧緻な技術によって群を抜く存在だ。すべての服は、ソウルにある自社のアトリエで手作業で作られ、花の織柄からメッシュのベストまで、ディテールの緻密さには舌を巻くほどだ。

設立:2016年
拠点:ソウル
Instagram:@youth_lab_kr
SSENSEより:2016年に韓国のセレクトショップObscuraのプライベート ブランドとして設立されたユースは、シンプルさと複雑さを慎重に組み合わせたレディトゥウェアと小物を提供する。オーバーサイズのブレザーや不定形のデザインが目を惹くジュエリーをはじめ、Youthのアイテムはさまざまな着こなしに対応する柔軟さと、主役級の存在感を併せ持つ。

  • 文: Hyunji Nam、Alek Rose
  • イラストレーション: Tobin Reid
  • 翻訳: Atsuko Saisho
  • Date: September 8, 2023