ニューヨークは今でもクール?
シティに活気を与え、当然SSENSE新人デザイナーの最新ルックを着ているミュージシャン、アーティスト、ライターたちの答えは?
- 文: Steff Yotka
- 写真: Jeannie Sui Wonders
- スタイル: Angelina Vitto

クールな人たちが出会って一緒に過ごしたら、何が起こるのだろう? ソーシャルメディアが大衆文化の言語になる以前、都市の個性が生まれている「場」を理解しようと思ったら、バーやパーティやカフェに目を向けるしかなかった。そういう「場」を構成する人たちが定職に就いていることもあったけど、職場を覗いたってわからない。実のところ、ソーシャルメディア時代の今だって、バーやパーティやカフェに張り込んでこそ、若者文化と呼ばれるものと現実の乖離を理解することができる。主流ソーシャルメディアを支配するトレンドと注釈によって捕獲され、代謝された「いわゆる」若者文化 ー 言い換えるなら、サブカルチャー崇拝とトレンド予測 ー と、今のニューヨークの若きクリエイターたちが生きる生身の現実は別物だ。
今回ご紹介するのは、2024年を刺激している11人の若きクリエイターたち。テクノロジー嫌いの反携帯キッズにはそもそも連絡することすら難しいので、決してオフラインを標榜するわけではないが、コンピュータ画面に張り付く代わりに現実世界で行動しているクリエイターたちを選んだ。ポール・シュレイダー(Paul Schrader)監督と一緒にカンヌ国際映画祭に姿を見せたり、ニューヨーク近代美術館の別館PS1やブルックリン ミュージアムで展示を開いたり、国際的なマガジンの特集記事を執筆したリ、オシアガ フェスティバルのステージを沸かせたり、非常階段でタバコを吸ったり、彼らはそれぞれの現実を生きている。もしかしたら、近所のビルにいるかもしれない。見かけたら、「ハーイ」と一声かけてほしい。

Taylor 着用アイテム:Tシャツ(Anna Sui)、ブルマ(Meryll Rogge)、ソックス(Anna Sui)、ブーツ(We11done)。冒頭の画像: Ben (左) 着用アイテム:Tシャツ(Still Kelly)。Shanny (中央) 着用アイテム:ポロ(Paula Canovas del Vas)。Jackson (右) 着用アイテム:ジャケット(Commission)、パンツ(Commission pants)。
テイラー・ジーン(Taylor Jeanne)
映画プロデューサー/脚本家
今手掛けてるのは?
『Car Crash Girl』の制作資金を半分調達できたところ。私自身が脚本を書いた最初の長編映画になるわ。それとは別に、故郷のアリゾナ州フェニックスを舞台にした「成長もの」も書き終わってる。車の運転を習う少女のストーリー。実は私、仕事に応募したときに嘘を書いてね、運転を習ったのは本当は2年前。
クリエイターのグループと活発に交流してる?
脚本を書くのは頭の中の孤独な作業だから、身の回りにライターがいなきゃダメ。ここ半年は、とにかくそのことを優先してきたわ。お互い、頼りにできなきゃいけないと思う。「今何か読めるもの、書けてるかな? 何ページでも構わないよ、親愛なる女王様」ってメッセージをくれる人が必要なのよ。私のボスが送ってきたメッセージがまさにそのとおりだった。ま、80歳のボスだから「女王様」の箇所は私の脚色で、実際は「何ページでも構わないよ」で終わってたけど。
ポール・シュレイダー(Paul Schrader)はどんな人?
すばらしい先輩。すごく闘志があるの。「映画を作るのはライオンの檻に入ることだ。ライオンに負けるときも勝つときもあるが、とにかく檻に入らなきゃいけない」といつも言ってる。

Nicolaia 着用アイテム:ワンピース(Bode)、ネックレス(Marland Backus) Taylor 着用アイテム:Tシャツ(Conner Ives)、ショートパンツ(Meryll Rogge)

Memphy 着用アイテム:ドレス(Conner Ives)、ネックレス(Mondo Mondo) Grey 着用アイテム:ブラ(SC103)、ネックレス(Harlot Hands)、パンツ(Carter Young)、ネックレス(Harlot Hands)

Memphy 着用アイテム:ドレス(Conner Ives)、ネックレス(Mondo Mondo)、スニーカー(adidas Originals)
メンフィ(Memphy)
モデル/DJ
パーティを盛り上げる法則は?
考え過ぎると、ストレスが溜まって最悪の結果になる。だから、好きな曲をかけて、とにかく楽しむ。
今セットに入れてるのは?
バイレ ファンキが大好きなんだ、ブラジル生まれのハウスとかテクノ。とにかく色んなジャンルをミックスするのが好き。ずっと同じものばっかりプレイするDJなんか、飽きちゃう。
「イット ガール」というレッテルは好き? 嫌い?
嘘はつかない、大好き。「イット ガール」は誰のなかにもあるのよ。ニューヨークの良いところは、どの「イット ガール」にもちゃんと仕事があること。

Ben (左) 着用アイテム:Tシャツ(Still Kelly)。Shanny (中央) 着用アイテム:ポロ(Paula Canovas del Vas)、スニーカー(Reebok Classics)。Jackson (右) 着用アイテム:ジャケット(Commission)、パンツ(Commission pants)。
ファッカーズ(Fcukers)
バンド
ファッカーズのミュージックを形容するとしたら?
シャニー・ワイズ(Shanny Wise):パーティ?
ジャクソン・ウォーカー・ルイス(Jackson Walker Lewis):俺もそう言おうと思ってた。
この夏のバイブスはどうだった?
ワイズ:パーティ。
ベン・シャーフ(Ben Scharf):ラット バイブス。
ニューヨークは今でもクールだと思う?
ワイズ:思う。
ルイス:うん。
シャーフ:クールじゃなくなるなんて、ありえない。

Daisaku 着用アイテム:フーディ(Chopova Lowena)
日高大作(Daisaku Hidaka)
アーティスト/モデル
ニューヨークへ来たのはいつ?
2022年に、日本から。ニューヨークは暮らすだけでもタフでなきゃいけないし、そういう体験をできるのがすごく嬉しい。
クリエイターが沢山いる感じ?
絶対、沢山いる。俺は学校でアートを勉強したわけじゃないけど、アートの業界へ入る方法を探ってるところ。
ずっとニューヨークで暮らすつもり?
どうかな。ロスが好きだから、30になったらロスへ引っ越すかも。
いつの時代も、ニューヨーカーは30になったらロスへ引っ越そうとする。
そうだね。だけど、ロスは超クールだから!

Sean-Kierre 着用アイテム:セーター(Vivienne Westwood)、ショートパンツ(Chopova Lowena)

Sasha 着用アイテム:ワンピース(Vivienne Westwood)、バッグ(Maryam Nassir Zadeh)
作品から何を感じ取ってほしい?
笑うと同時に、哀しみを感じてくれたらいいと思う。相反するものを感じてほしい。
インスピレーションの源は?
エコロジーは自然と人間の相互作用と考えられがちだけど、私にとって、ニューヨークは常に自然界。私たちという動物が生息する場所よ。私たちは、ニューヨークという生態系に基づいて相互作用してる。
今手掛けてるのは?
技術を磨くために絵と描画をやってる。今年の初めにかなり大規模なプロジェクトをやったんだ。プロジェクトのあいだで十分休憩できないアーティストが多いと思うけど、私は少し自分のために時間をとって、自分がやってること、やりたいことをもっと突き詰めて、よく理解したい。
サーシャ・ゴードン(Sasha Gordon)
アーティスト
どういうふうにニューヨークのアート界を渡ってきたの?
私はすごくラッキーだったと思う。素晴らしい人たち、特にアートの世界で同じような道を辿っている若いアーティストたちとの出会いが沢山あったからね。手引きみたいなものは一切ないから、アート界を渡っていくのはすごく難しい。自分で考えて行動するしかないし、どんな人と出会って、どんな場所で自分の作品をみせるかですごく大きく変わってくる。学校を出た後は、作品を批評してもらったり作品について話し合ったりする機会が無くなるから、ニューヨークに仲間がいることがすごく大切よ。
ニューヨークは今でもクール?
もちろんよ。ロスよりいい。
今手掛けてるのは?
次回の個展の準備中。まだ告知されてないから、場所は言えない! 当たり前だけど、スタジオに入り浸って、沢山作品を作ってるわ。順調よ。

Grey 着用アイテム:Tシャツ(Collina Strada)、スカート(HODAKOVA)、ヒール(Amina Muaddi)
グレイ・ホフマン(Grey Hoffman)
メイクアップ アーティスト
ニューヨークへ来たのはいつ?
2018年に学校へ行くために越してきたの。だけど2年通学したあたりで人生の流れが変わって、ドロップアウト。メイクアップ アーティストのアシスタントになったわ。ニューヨークにいるのが当然で、故郷へ帰るなんて考えなかった。
ニューヨークはクール?
ニューヨーク全体のことはわからないけど、友だちはみんな、すごくクール。
年末までの予定は?
シカゴで家族と過ごす時間を増やすこと。でもきっと、仕事をして、ボーイフレンドと過ごして終わっちゃうだろうな。そういうのは退屈?
とんでもない。外ではクールなギャル、家では健全なガールフレンドってニューヨ―カ―の夢よ。
そう、料理をして、リラックスして…ナラ・スミス(Nara Smith)風。
アンバー・レイター(Amber Later)
モデル/ライター
インスピレーションの源は?
私、よく、長い散歩をするの。特に夏。友だちに会うときとか、目的の場所まで歩く場合もあるけど、目的なしに気が向くままに歩くのが好き。今住んでるマンハッタンは、歩くにつれて、風景や雰囲気がどんどん変わっていく。それを見るのが楽しくて。
ファッションに関する本を書いてるし、モデルとしてファッションの世界にも身を置いている。それはいい体験? 嫌な体験? 楽しい体験?
テーマの世界に実際に関わってるのは、ライターとしてすごくラッキー。本を書くなんて予想もしてなかったけど、ファッションの世界で仕事をしてると、変わった人たちに出会うことが多いの。強烈な個性の人がいっぱいいるし、珍しい状況もたくさんある。世界中からやってきた人たちと出会えるのはすごく良いことだし、とっても貴重な体験だわ。色んな人たちがいて、別の人たちを理解しようと努力してる。それを考察するのがライターだからね。

Nicolaia 着用アイテム:ブラ(Bode)、スカート(Ashley Williams)、ヒール(Paris Texas)、リング(Collina Strada)

ニコライア・リップス(Nicolaia Rips)
ライター
執筆する場所は?
書ける場所ならどこでも。以前は書く場所に拘る気取り屋だったけど、今は簡単。場所があれば、座って、書く。ラップトップだけはいつも持ち歩いてるの。ラップトップの入るバッグ、というのが私のバッグ選びの鉄則よ。
おすすめページを作るとしたら、どんなコンテンツになる?
リーヴァイ・コラリン(Levi Coralynn)にハマってるから、私もASMRをいっぱい載せる。その他には、ひそひその囁き声、メイクアップのアドバイス、昔撮った動画、人が物を食べてるところ。しかも、全然美味しそうじゃない食べ物ばっかり。
「イット ガール」と呼ばれてるけど、そういう分類を受け容れてる?
同じことを尋ねられたとき、ハリ・ネフ(Hari Nef)は「私は俳優」と答えたんだって。「イット ガール」は、定義されていない謎めいた存在でなきゃいけないでしょ。わたしも謎めいてればいいんだけど、頭に浮かぶことをひとつ残らず書くのが仕事だから、私はライター。「イット ガール」は無理。
ニューヨークのクリエイターたちの世界はどう変化した?
私はチェルシーホテルで暮らしながら大きくなったから、身をもってすごく大きな変化を体験してきたわ。たくさんのアーティストたちが集まってたアバンギャルドな場所が、今はお洒落な超高級ホテルだもん。ニューヨークの素晴らしいところは、ニューヨークへ来た人全員に「この街の一片は私のもので、何らかの形で私の足跡を残せる」と感じさせるところよ。たった2か月のうちに消えてしまう足跡だとしてもね。

- 文: Steff Yotka
- 写真: Jeannie Sui Wonders
- スタイル: Angelina Vitto
- クリエイティブ ディレクション: Samantha Adler
- ヘア: Sonny Molina / Streeters
- メイクアップ: Grey Hoffman
- セットデザイン: Liz Mydlowski
- プロデューサー: Jay Chary, Gina Lee / C.A.V.E.
- タレント: Amber Later / IMG Models, Daisaku Hidaka / DNA Models, Fcukers, Grey Hoffman / No Agency, Memphy / IMG Models, Nicolaia Rips, Sasha Gordon, Sean-Kierre Lyons, Taylor Jeanne
- キャスティング: Greg Krelenstein / gk-ld
- 写真アシスタント: Avery Norman
- スタイリング アシスタント: Shannon Gorman, Hannah Shevlin
- ヘア アシスタント: Kam Korderz
- メイクアップ アシスタント: Kye Quinlann
- プロダクション アシスタント: Kendrick Shoji
- 翻訳: Yoriko Inoue
- Date: September 6, 2024


