KATSEYE

世界を揺らす、美しきカオス

  • 文: Hyunji Nam
  • 写真: Jason Omar Al-Taan
  • スタイリスト: Spencer Singer
KATSEYE

挑発的な歌詞、容赦ない振付、そして脳内にこびりつくような圧倒的なビート。KATSEYEの新曲「Gnarly」は、まさに新たなカオスの到来である。

甘美と異形が絶妙なバランスで共存するプレリリースシングル「Gnarly」は、過激と過激の狭間を漂うように鳴り響く。デビューアルバム『SIS』に収録された「Touch」のキュートな余韻がまだ耳に残っているならば、この新曲はその記憶ごと破壊し、次なる章の幕上げを告げるだろう。

2024年4月の初公開時、戸惑いの声が上がったのも束の間、すぐにそれは熱狂へと変わっていった。「アルバムの反応がすごく楽しみ。喜んでもらえるといいな」と語るのは、メンバーのメーガン。これまでのどの振付よりも激しく、キレのある動きが、TikTokやReelsを席巻した。ユーザーがループさせ、リミックスした「Gnarly」の断片は、いまやあらゆるフィードで目にする。

「すごく実験的な楽曲だけど、私たちらしさがすごく詰まってると思う」とマノン。「音としてもビジュアルとしても、成熟したというか、KATSEYEが“今”どこにいるかをちゃんと映してる」

振付師の杉原壮平はこう述べている。「曲のエネルギーと動きの力強さを一致させること、歌詞から生まれる感情を身体でどう表現するか。そこに注力しました」

混沌、それはKATSEYEそのものである。すべてが混ざり合い、すべてが予測不能。彼女たちの成り立ちすら、型破りだ。
アトランタ出身のダニエラ(キューバ/ベネズエラ系アメリカ人)、ニューヨーク出身のララ(インド系)、チューリッヒ出身のマノン(ガーナ系イタリア人)、ホノルルのメーガン(中国系アメリカ人)、マニラ出身のソフィア、そしてソウルから来たユンチェ。文化も国境も越えて集まった6人のメンバーが、KATSEYEを構成する。

その始まりは2023年。BTSやLE SSERAFIMを擁するHYBEとGeffen Recordsがタッグを組み、Netflixで放映されたグローバル・オーディション番組『The Debut: Dream Academy』がすべての起点となった。12週間に及ぶ競争に、12万人以上が参加。最初のミッション映像だけで、199万票が世界中から投じられた。誰もが自分の「推し」を見つけ、まるでオリンピックのように応援に熱を上げた。

グループ結成後、ファッション界が黙っているはずもなかった。Coachは即座にショーへ招待し、キャンペーンにも起用。FendiやGlossierも追随した。Fendiの撮影は、ナディア・リー・コーエン(Nadia Lee Cohen)による写真と、Interview Magazine編集長にしてリアーナのスタイリストでもあるメル・オッテンバーグ(Mel Ottenberg)によるスタイリングという豪華布陣で行われた。「あのオファーが来たときは本当にびっくりした。だってFendiよ!」とララは当時を振り返る。

もしデビューEPが「名前を刻む」ことに重きを置いていたとすれば、6月27日リリースのセカンドEP『BEAUTIFUL CHAOS』は、「世界を築く」ための作品である。ジャンルにも国境にも縛られない、新たなアイドル像を描き出す。さらに今年夏、彼女たちはアメリカ・シカゴで開催されるLollapaloozaのステージに立つ予定だ。「3歳か4歳のころから、Lollapaloozaでパフォーマンスするのが夢だった」とララは語る。「それが現実になるなんて…すごく楽しみ。最高のショーを見せる準備はできてる」。多忙を極めるKATSEYEは、そのすぐ後にSummer Sonic 2025で大阪と東京に降り立つ。

ステージ上ではキレのあるパフォーマンスで観客を魅了するKATSEYEも、ステージを降りれば、お気に入りの抹茶ドリンクの復活を心待ちにする6人の少女に戻る。

「リハの途中で、マノンがPorto’sに電話して『ジャスミン抹茶はいつ帰ってくるの?』って聞いてて、そしたら2日前に本当に復活したの」とリーダーのソフィアは笑いながら話してくれた。ソフィア曰く、KATSEYEの最大の武器はコミュニケーション力だという。「お互いを理解しようとするなかで、自然と話し方も、関係の築き方も学んだ。私たちの成長って、たぶんそこにいちばん表れてる」パフォーマンスディレクターのグラント・ギルモア(Grant Gilmore)もそれに同意する。「KATSEYEの強さは、舞台上の存在感とケミストリー。ひとりひとりが強い個性を持ちながら、自然と一体になっていく」

6人が集まったとき、その力は単なる総和を超えるものとなる。ここでは、すべてを“Gnarly”に塗り替える彼女たちの素顔に迫る。

ララ(LARA)

ヒュンジ・ナム(Hyunji Nam)

ララ(Lara)

練習生時代、いちばん聴いていた曲と、いちばん振りを練習したアーティストは?

練習期間中にポップスとガールズグループの音楽にすごくハマったの。もともとはR&Bとかネオソウルにどっぷり浸かって育ったんだけど、あの頃に2000年代のポップスとガールズグループの魅力を再発見して、改めて夢中になったわ。とくに、Britney Spearsの「Outrageous」はたくさん聴いたし、The Pussycat Dolls、BLACKPINK、SWVもよく聴いてた。あと、私はわりと引き寄せを信じてるタイプで、BLACKPINKの「Shut Down」を聴きながら「KATSEYEに入れますように」ってずっと願ってた。

尊敬するボリウッドのスターや俳優は?

一番好きなのはRekha、Deepika Padukone、Aishwarya Rai。とくにRekhaは、メイクもスタイルも生き方も全部含めて、私の美学にすごく影響を与えてくれた存在。自分のルックスのルーツは、彼女にあると言ってもいいかも。

Weverseで、自分のセクシュアリティについて「Half Fruitcake」と表現した投稿が大きな反響を呼びましたが、あの時の気持ちは?

正直、あんな多くのリアクションがあるなんて予想してなかった。でも、世界中のファンからたくさんの愛とサポートをもらって、心があたたかくなったし、嬉しかった。「あなたの言葉に勇気をもらって、自分もカミングアウトできました」っていうコメントもたくさんあった…読んでて泣いちゃったわ。私がやりたいことって、結局そういうことなの。みんなが自分らしく、自分を好きでいられるように、ちょっとでも力になれたらって思ってる。

韓国の音楽番組『Music Core』や『MAMA』にも出ましたね。裏話とか、TikTokチャレンジの思い出があれば教えてください。

ILLITと一緒にすごく楽しい時間を過ごしたのを覚えてる。同じHYBE所属だからか、なんだか姉妹みたいな感じがして、音楽の話とか、お互いの経験談で盛り上がったわ。あと、BOYNEXTDOORとは“Touch”のチャレンジを一緒にやったんだけど、彼らの振り付け、ほんっとうに難しくて! でも楽しかった〜。Yoonchaeとふたりで何回も練習したの。

ユンチェ(YOONCHAE)

ヒュンジ・ナム(Hyunji Nam)

ユンチェ(Yoonchae)

歌手を目指すようになったきっかけは?

BTSよ。小さい頃からずっと彼らのパフォーマンスを見ていて、「いつか自分もあのステージに立ちたい」って思うようになったの。観ている人にエネルギーを与えて、心を動かす彼らの姿が本当にかっこよくて。でも、パフォーマンスだけじゃなくて、バラエティとかその他のコンテンツに出てる彼らも好きだった。いつも明るくて、おちゃめで、ファンと楽しそうにやりとりしていたから、ああいう姿を見て「私も誰かを元気にできる人になりたいな」って。その気持ちが少しずつ積み重なって、自然と「歌手になりたい」という夢に変わっていったの。

出演してみたい韓国のバラエティ番組や、叶えたい“バケットリスト”はありますか?

いちばん好きなのは『新西遊記』! あと、ナ・ヨンソクPDの番組も大好き。彼が手がけてる番組にいつか出演できたらすごく嬉しいな。それから、『ランニングマン』や『知ってるお兄さん』も小さい頃から観てきた番組だから、出られたら本当に夢みたい。

KATSEYE

Yoonchae着用アイテム:alexanderwang.t ポロCoperni スカート

お気に入りの韓国ファッションブランドは?

最近よく着ているのは「Matin Kim」よ。カジュアルなんだけどシルエットがきれいで、毎日のコーデにぴったり。

ファンのEYEKONSに伝えたいことは?

Weverseで、あるファンがすごく温かい長文のメッセージを送ってくれたことがあって。「大変な時期を乗り越える中で、KATSEYEの存在にすごく助けられた」「まるで親友ができたみたい」って書いてくれて…その言葉が本当に嬉しかった。私たちが、誰かの親友みたいな存在になれてるなんて。これからも、そういう絆を大切にして、もっともっとファンに近づけたらいいなって思ってる。

ダニエラ(DANIELA)

ヒュンジ・ナム(Hyunji Nam)

ダニエラ(Daniela)

『DREAM ACADEMY』を通して、最も大きな学びは何でしたか?

コンフォートゾーンから抜け出すことの大切さかな。自分が“こうだ”と思っていたイメージを手放して、未知の自分に飛び込んでいく——最初はすごく怖かった。自分を見失いそうになることもあった。でもその過程で、本当の意味で強くて、怖がらない自分を見つけることができたの。限界を超えて挑戦し続けたからこそ、「私って、こんなこともできるんだ」って気づけた。その経験は、一生の宝物よ。

ヒップホップが大好きだと聞きました。好きなアーティストは?

アトランタで育ったから、ラップカルチャーが生活の一部だった。自然と耳にする音楽がヒップホップ中心で、その影響はすごく大きかった。好きなアーティストは、Playboi Carti、Kendrick Lamar、A$AP Rocky、Tyler, The Creator、Lil Uzi Vert。みんなスタイルもメッセージも違うけど、それぞれ違った形で刺激をくれて、ヒップホップ/ラップへの愛がますます深まったわ。

幼い頃からダンスの才能があったようですが、今注目しているダンサーや振付師は?

ずっとダンスが大好きで、まわりの人たちから常に刺激を受けてる。最近注目しているのはJojo Gomez。彼女のスタイルや自信、そして動きのひとつひとつに込められた感情表現はほんとにすごいの。それから、私の振付師のグラントと壮平。この二人と一緒に過ごす中で、ダンサーとしてだけじゃなく、パフォーマーとしての自分も成長できた。動きと物語の融合。そのアプローチのユニークさに毎回感動して、「ああ、私ってやっぱりダンスが大好きなんだ」って再確認できる。

クリエイティブ ディレクターのウンベルト・レオン(Humberto Leon)との仕事について教えてください。普段はどんな会話を交わしながら、アイデアを形にしていますか?

彼はとても素敵な人で、いつも優しくて気さく。すごく協力的で、「こういうルックが似合うと思う」とか「これはどう思う?」っていう会話が自然にできるの。服やメイク、ヘアスタイル、これから挑戦してみたいビジュアルについて、メンバーみんなで話し合ったり、好きなもの・苦手なものを共有したり。とにかくいつも「見た目」に関するアイデアを自由に交換できて、それがすごく楽しい。

マノン(MANON)

ヒュンジ・ナム(Hyunji Nam)

マノン(Manon)

今年いちばん聴いたアルバム、もしくは、今年のベストアルバムを挙げるとしたら?

Beyoncéの『Cowboy Carter』か、Frank Oceanの『Channel Orange』かな。『Channel Orange』はずっと前から大好きで、定期的に戻ってきちゃうアルバム。

前作『SIS』と比べて、自分の中でどんな成長がありましたか?

短期間で、本当にいろんなことがあったわ。これまでよりずっと大きなステージに立つようになって、最初はそのスケールに戸惑うこともあったけれど、今は少しずつ、自分が何に向き合っているのかを実感できるようになってきた気がする。音楽的な面では、KATSEYEとしてより実験的になったし、自分たちの“これから”をどう描いていくかをチームとしっかり話せるようになった。それがすごく大きいと思ってる。

夢を叶えるまでの道のりは簡単じゃないと思いますが、それでも前に進み続けられる理由は?

いちばんは、やっぱり友達やファンの存在。いつもそばで応援してくれて、本当に支えられている。でもそれだけじゃなくて、「これが私の道なんだ」っていう確信もある。この道に進むことは、なんだか最初から決まっていたことのように感じていて。だからこそ、たとえどんな困難があっても、他の道を考えるという選択肢は自分の中にないかな。

6月28日でデビュー1周年を迎えます。この1年を振り返って、今の気持ちは?

変化に満ちた旅をしてきた感じ。オーディションのときの私たちと今の私たちを比べると、ひとりひとりがすごく成長したはず。年齢的にももちろんそうだけど、スキル面でも、人とのコミュニケーションにおいても。そしてなにより、姉妹みたいな関係性を築けたことが嬉しい。

メーガン(MEGAN)
KATSEYE

Megan着用アイテム:Commission ドレスALAÏA シューズ

ヒュンジ・ナム(Hyunji Nam)

メーガン(Megan)

歌を志すようになったきっかけや、幼少期に影響を受けたアーティストは?

人生でいちばん最初に夢中になったのがダンスだと思う。3歳から踊り始めて、すぐにパフォーマンスという世界に惹かれたの。Britney Spears、Lady Gaga、Rihanna― そういった伝説的なアーティストのパフォーマンスを観ては、何時間も踊り続けたわ。でも次第に、「踊るだけじゃなくて、音楽と動きを通してストーリーを語るアーティストになりたい」と思うようになった。中でもBritney Spearsは、私にとって最大のインスピレーションだったわ。彼女のステージでの存在感、すべての瞬間を掌握するようなパフォーマンス… 完全に心を奪われたわ。「ああ、これが私の運命なんだ」って、そう確信したの。

『Dream Academy』では、シンガポールの文化とのつながりを十分に見せられなくて後悔したと話していましたが、デビュー後、シンガポールのファンとの絆は深まりましたか?

シンガポールのEYEKONSとのつながりは確実に深くなったと思う。特にあの番組後はね。自分自身のシンガポール人としての部分を、より大切にし、誇りを持つようになったわ。クリスマス休暇でシンガポールに帰省したときにもすごく実感したの。たくさんのEYEKONSに直接会えて、言葉だけじゃなく心でもつながれたことが最高に嬉しかった。

Netflixで配信された『The Dream Academy』を通じて、印象的だったフィードバックは?

物事を全体像で見ることの大切さを教えてもらった。私は完璧主義なところがあるから、小さな失敗や評価、ピッチのズレといった細部にこだわりすぎて、視野が狭くなってた時期があった。でも、完璧じゃなくて、成長と前進こそが本質なんだと気づかされて。このアドバイスは、トレーニングとメンタルサポートをしてくれたニッキー・パラモ(Nikky Paramo)先生がくれたの。今でもずっと大切にしてるわ。

過去にはモデルとしても活躍していたけど、もし今またランウェイに立てるとしたら、どのブランドのショーに出てみたいですか?

モデルとしてもう一度歩けるなら、Dolce & Gabbana、Prada、Saint Laurent、VETEMENTS、Chanel、Blumarine、Fendi、Coachに出てみたい。

ソフィア(SOPHIA)

ヒュンジ・ナム(Hyunji Nam)

ソフィア(Sophia)

『Dream Academy』で1位になったことでプレッシャーを感じますか? それを原動力に変える方法は?

最初はやっぱりプレッシャーだったわ。Dream Academy中の競争モードのまま頑張らなきゃ、って思うこともあった。でも、5人の素敵なメンバーとひとつのチームになったって実感したときに、考え方が変わったの。もう「1位で居続けなきゃ」っていう話じゃなくて、みんなで“今”を一緒に生きてるんだって感じられるようになった。だからこそ、自分ひとりじゃないっていう安心感が大きくて、それが自信とモチベーションに変わったの。

デビュー以降の忘れられない出来事は?

3年ぶりにフィリピンに帰れたこと。それがいちばん感動的な出来事かな。感情が溢れ出そうで、自分をキープするために、ちょっと気持ちをオフにしないといけなかったくらい。自分の名前を呼んで、応援してくれる声があって、それがこんなにも自分を励ましてくれるなんて、想像もしていなかった。

尊敬しているフィリピン人アーティストは?

母がシンガーだったから、子どもの頃から歌に触れてきた。母の周りにもミュージシャンがたくさんいて、そういう大人たちに囲まれて育ってきたの。その中でも特に尊敬しているのは、Lea Salongaね。彼女のようにディズニープリンセスの声を担当することが、私の大きな夢のひとつよ。

2025年を生きる若い女性として、いまの時代をどう感じていますか?

2025年って、ほんとにデジタルな世界だなって思うの。SNSのおかげで、今のつながり方って、これまでのどの時代とも違う次元というか。TikTokでトレンドになるくらい話題になってた。SNSでフィルターなしの自分をさらけ出してる人たちも多くて、みんながクスッと笑えるような、リアルでちょっと不器用なところを共有してる。そして、そういうのに共感する同世代の人が何百万人もいて、自分だけじゃなかったんだって気づかされる瞬間があって。それってすごく新しい感覚。だけど同時に、ちょっと混沌としてるというか…いい意味でも悪い意味でも、“gnarly”ね。
だから、私たちが最初のシングルに「Gnarly」というタイトルを選んだのも、そういう感覚を表現したかったから。歌詞そのものというよりも、この時代のエネルギーや空気感を表現した曲なの。

KATSEYE
  • 文: Hyunji Nam
  • 写真: Jason Omar Al-Taan
  • スタイリスト: Spencer Singer
  • クリエイティブ ディレクション: Humberto Leon
  • アート ディレクション: João Moraes
  • 撮影監督: Zach Arquilevich
  • ヘア: Hikaru Hirano / Frank Reps
  • メイクアップ: Loftjet / Forward Artists
  • ネイリスト: Olivia de Montagnac
  • セット デザイン: Leo Johnson
  • プロダクション: Penny
  • 撮影アシスタント: Zach Arquilevich, John Collazos
  • デジタル技師: Brian Kendall
  • スタイリング アシスタント: Ray Braungart
  • ヘア アシスタント: Drew Martin, Noelle Preston
  • メイクアップ アシスタント: Kayli Rachelle, Ty Sanderson
  • ネイリスト アシスタント: Candace Kim
  • リタッチング: Helen Studios