スカートもスウェットも
選ぶのはピンク

Canada Goose、Dries Van Noten、Stüssyの淡く甘い色彩で、感性は自由自在

    鮮烈で情熱的なレッドと、清浄で無垢なホワイトを混ぜ合わてできるピンク。対極の色の特徴は、ファッションでも発揮され、甘く優美なカラーは様々な表情を見せる。ドレッシーにも、クラシックにも、ストリートにもなり、それらのスタイルすべてをミックスしても成り立つモダンな色。感性のまま自由に、自分のスタイルをピンクで染めればいい。

    モデル着用アイテム:ジャケット(Canada Goose)

    耐風性と耐水性を持つナイロンタフタを使用したフードジャケットとくれば、思い浮かぶのは頑強ななアウトドアスタイルかもしれない。だが、ハイスペックアウターに優れたファッション性を取り入れ続けるカナダグースは、ナイロン製ウインドブレーカーを大胆にもピンクに染め上げ、童話世界に通じるロマンティックなウェアとして完成させる。

    モデル着用アイテム:セーター(Isabel Marant)

    ベビーアルパカ混のリブ編みは、起毛する表面が滑らかだ。力強く立ち上がり、ハーフジップを用いたスタンドカラーは作業着のようで、もしこの服の色がブラックだったなら、泥臭さを感じるかもしれない。中性的なファッションを得意とするイザベル マランが、異なる世界線の素材とディテールを繋げるために用いたのは、優しいピンク。上品さとワークテイストを中和したニットウェアが、日常に溶け込む。

    画像のアイテム:リング(Dries Van Noten)

    重厚なクラシックウェアを得意とするドリス ヴァン ノッテンだが、自身のスタイルを崩すことを楽しむように、時折アヴァンギャルドな精神を覗かせる。ピンクのバンドリングは、一見ベーシックなデザインだが、指にはめると、その大ぶりなサイズに驚くかもしれない。妖しげに光る色が、ブランドが隠し持つ異端性を密やかに表す。

    モデル着用アイテム:セーター(Stüssy)

    カリフォルニアのサーフカルチャーから誕生し、長年ストリートを先導してきたステューシーが、普段着の王様、スウェットシャツに気品と洗練をもたらす。オーバーサイズなドロップショルダーは、まさに現代を物語るシルエット。だが、ストリートならではのグラフィックは、ロゴと王冠を思わせるモチーフのみ。静かなトーンのピンクが、胸元のブルーの静謐さを際立たせる。

    モデル着用アイテム:スカート(Molly Goddard)

    鮮やかなネオンカラーとドレッシーなシルエットが、ドラマチックなモリー ゴダード。その劇場性は、可憐なボトムでも健在だ。裾に向かって緩やかに広がるシルエットと細かく波打つ裾のギャザーが、ゆっくりと蕾を開く花のよう。揺らめくピンクのスカートは、街ゆく人々の視線を掴んでは離さない。

    モデル着用アイテム:トラウザーズ(DARKPARK)

    2022年にスタートした新進ブランド、ダークパークはパンツを得意領域とする。ウエストのドローストリング、適度な量感のワイドシルエットなど、カジュアル要素にあふれたボトムは、淡いピンクのコットンキャンバスが、軽快な印象をいっそう強くする。1日何もせずに寛ぐ休日には、イタリア製の軽やかなパンツがふさわしい。

    新井茂晃は神奈川のテキスト デザイナー。2016年より「ファッションを読む」をコンセプトに、ファッションデザインの言語化を試みる『AFFECTUS』を主宰し、『TOKION』、『装苑』でも記事を執筆している

    • 文: Shigeaki Arai
    • Date: April 18, 2023