SEVENTEENがLabubuにつける名前は?

ファレル・ウィリアムスが手がける、sacai × SEVENTEENのJOOPITERオークションの舞台裏

  • 文: Juyeon Woo
  • 写真: LESS

音楽は、すべてを越える共通言語である。その証ともいえるのが、2025年6月9日にソウルのポップアップで初披露され、のちにオンラインでグローバル展開されたプロジェクト「JOOPITER presents: sacai x SEVENTEEN」だ。ファレル・ウィリアムスが手がけるオークション プラットフォーム「JOOPITER」、前衛的な美学で知られる日本のファッションブランドsacai、そして世界的な人気を誇るK-POPグループSEVENTEEN。この三者が、音楽という普遍の言語を媒介に、ひとつの世界を築いた。

「これは、単なる服づくりではありませんでした」と語るのは、ポップアップのためにソウルを訪れたsacaiのクリエイティブ ディレクター、阿部千登勢である。「個性、調和、エネルギー。そのすべてを同時に表現すること。それぞれのメンバーが放つ存在感を、sacaiらしくコントラストを交差させた衣服の中に落とし込むこと。それが目標でした」

SEVENTEENの「Bad Influence」ミュージックビデオに登場した、sacaiがデザインしたジャケット。

メンバー11人のサイン入りTシャツ。

SEVENTEENの最新アルバム『HAPPY BURSTDAY』に収録された楽曲「Bad Influence」のプロデューサーとして名を連ねたファレル・ウィリアムス。これは同時に、Louis Vuitton 2025年秋冬メンズコレクションのサウンドトラックとしても起用された一曲である。K-POP史上もっとも売れているグループであり、今週発表された最新のBillboard 200で第2位にランクインしたSEVENTEENを、JOOPITERのプロジェクトに招き入れることは、ある意味で必然だったのかもしれない。SEVENTEENと新曲をつくることは、とても刺激的な経験だったとファレルは語る。「このコラボレーションは、阿部千登勢という素晴らしい友人、そして互いの創造的エネルギーがあってこそ実現したもの。世界中のファンに届けたい」

今回のプロジェクトでは、オークション出品アイテムのひとつとして、現役メンバー11人の直筆サイン入りTシャツ「J–17–S Emblem Graphic T-shirt」が登場(残る2名、ジョンハンとウォヌは兵役中である)。Tシャツには、JOOPITER、SEVENTEEN、sacaiの頭文字を重ねたエンブレムロゴが配されており、三者のDNAを可視化したような仕上がりだ。「JOOPITERというカルチャー プラットフォーム、sacaiのクラフトマンシップ、SEVENTEENのアーティスティックな感性——その三つが結晶化し、新たな価値を生んでいる」と、現地を訪れたファッション関係者は語る。

Vernon、Joshua、Hoshi、Chitose Abe、Dino、Seung-kwan、DK(sacai x SEVENTEENのイベントにて)。

だが、このコラボレーションの“主役”は、もしかすると別の存在かもしれない。2015年、アーティストのカシン・ルンが「The Monsters」シリーズの一部として生み出したキャラクター、ラブブ(Labubu)。その愛らしさが世界中でブームを巻き起こすなか、本プロジェクトではファッションアイコンとして登場。首元にはネックレスを携え、sacai × Carhartt WIPによるベージュのつなぎをまとっている。

ラインナップは、SEVENTEENのメンバーひとり一人に対応する13体に加え、ファレルお気に入りのsacaiのアイテムから着想を得た特別仕様の14体目も用意された。この愛嬌たっぷりのキャラクターに、メンバーのDKが命名する場面もあった。「Labubuって“ぶ”で終わるじゃないですか。だから僕たちのメンバー“ブ・スングァン”にかけて、“ラブブ・スングァン”にしたらかわいいかなって思いました」と、彼らしい茶目っ気で答えてくれた。

SEVENTEENのDK。

阿部千登勢デザインによる限定アイテム。

今回新たに公開されたLabubuコレクションでは、POP MARTおよびHOW2WORKとの協業により、初のグリーンファー仕様が登場。いたずら好きでチャーミングなこの存在がまとうのは、ただのかわいらしさではない。Labubuにとって、グローバルなファッションブランドとの公式コラボレーションはこれが初となり、コレクティブル文化とハイファッションとの境界線を崩す、象徴的な一歩でもある。各Labubuフィギュアはブラインドボックス形式で提供されており、手元に届くまでどのキャラクターが現れるかはわからない。その“偶然性”と“待つ楽しさ”こそが、このプロジェクトに隠されたもうひとつの魅力である。

オークションとは別軸で展開されるのが、Tシャツやフーディ、キャップといったマーチャンダイズのコレクション。こちらはコレクターズアイテムとは異なり、限定数で直接購入が可能となっている。「僕のお気に入りは半袖Tシャツですね」とSEVENTEENのジョシュアはSSENSEに語る。「ワークパンツにさっと合わせて、その上からsacaiのアウターを羽織るだけで、夏でも冬でも使える万能さが気に入っています。今日みたいに黒のパンツとローファーを合わせるのもかっこいいと思いますよ」

SEVENTEENのJoshua。

グリーンエディション:POP MART x HOW2WORK限定のラブブ。

〈JOOPITER × sacai × SEVENTEEN〉が提示するのは、次世代における文化の消費と体験に対するひとつの提案である。2022年に設立されたJOOPITERは、希少で価値あるコレクションの発見とオークションに特化したデジタル プラットフォーム。自らを「現代のコレクターのための空間」と位置づけるこのサービスは、すでにK-POPとの深いつながりを持っている。たとえば昨年開催されたフリーズ ソウルの期間中には、G-Dragonとタッグを組み、「Nothing But a ‘G’ Thang」と題されたオークションを主催。コンテンポラリーアート、Off-White × Nikeのカスタム エアジョーダン、CHANELのベルト、さらにはMAMA Awardsで着用したジャケットまで、G-Dragonの私物51点が出品された。

しかし今回のプロジェクトは、単なるバイラルなコラボにとどまらない。オークションで得られたすべての収益は、アメリカ合衆国の教育・科学・文化を司る機関、UNESCOへと寄付される。昨年11月、SEVENTEENは第13回UNESCOユースフォーラムにて、パリのUNESCO本部のステージに立ち、こう述べている。「どこに生まれた誰であろうと、夢を諦めずにいられる社会であってほしい」。彼らは現在、UNESCO青年親善大使として、そのメッセージを世界に発信し続けている。

イベントが終わってからというもの、私は毎日のようにJOOPITERのサイトを開いては、唯一無二のLabubuに入札された価格をチェックしている。
ぬいぐるみを含む今回のコレクションは、6月18日までJOOPITERの特設サイトにて公開中であり、この記事を執筆している時点での最安価格は1,700米ドルである。

ウ・ジュヨン(Juyeon Woo):ロサンゼルスとソウルを拠点に活動するライフスタイル・エディター/ライター。かつて『Vogue Korea』のデジタルエディターを務めた経歴を持つ。

  • 文: Juyeon Woo
  • 写真: LESS
  • Date: June 13, 2025