夜が去る5時まで、X指定ベルリンにて

写真家マキシム・バレステロスが、 夜が明けるまで ドイツの首都の裏側を徘徊する

  • 写真: Maxime Ballesteros

Maxime Ballesteros(マキシム・バレステロス)が手がけるSSENSE最新のエディトリアルで、彼は広大かつディープなナイトライフで有名な都市、ベルリンの旅を敢行する。その顛末は、自身の活動拠点でもある都市の探訪記というより、むしろDario Argento(ダリオ・アルジェント)の映画のような、エロティックでカルト的ツアーとなった。思いがけない3人組を道連れに、ボンデージ、陰影に縁取られた公園、打ち捨てられたビル、緋色の煙に包まれたメトロで繰り広げられるアクロバットの夜が展開する。車を止めて、彫像の脚を撫でる時間だってある。

「この夏で、ベルリンに来て9年になるんだ。長くいるつもりなんてさらさらなかったんだけど、『自分の家にいるようにくつろいで』と誘われているような、かすかな、ほとんど無言の囁きを感じないわけにはいかないんだ」 Maxime Ballesterosは言う。

「今まで訪れたどこの場所より、ここでは自分の望む暮らしを阻むものが少ないんだ。どこにいても、消えることのない自由の感覚がある。まだまだ、それを魅力的な贅沢だと感じる人間もいるんだ。それにここでは、そのために余分な金を払わされることもないしね」

「今回のストーリーでは、ガイドブックに載ってるようなスポットには足を向けない。そのかわり、友人たちがたむろする暖かくて親密な空間を見て回る。錆びついたフェンスの背後に潜んで、外界からは見えないものをね。北のヴァイセンゼー地区では、アーティスト集団のスタジオや素晴らしい建築。南へ下って、クロイツベルクの中心には、夢のような仕事場に改築された元倉庫がある。西の果てのツェーレンドルフでは、夜を迎えて寝静まった道路やハイウェイを通り抜ける。Anouar Brahem(アヌアル・ブラヒム)の演奏する大音量のウードにロックされている間、Fania(ファニア)は後部座席でほとんど眠ってしまいそうだ」

「 それから、ガラ空きの郊外行きの地下鉄に飛び乗って、これまで行ったことのない場所へ脚を伸ばす」

「夜更けに市の中心へ向かう途中、僕のいちばん好きな彫像のひとつの前で止まる。周囲に新しく設置されたフェンスは、それを乗り越えるMaxine(マキシン)のZanottiのヒールより、もっと尖っている。小雨降る闇の中、巨大なジークフリートとシビルの間でバランスを取りながら、不動の冷たいブロンズの肌を彼女が優しく溶かす」

「雨の中、市の北にある廃墟となった産科病棟へ向けて車を走らせながら、Celyn(セリン)はTupac(トゥーパック)の「Hail Mary」に合わせて歌う。フェンスの裂け目をくぐって、中へ入る。上の階へと向かうと、半分焼けた木の梁が天井から落ちてくる」

「シェーネベルクにある公園の真ん中を横切るトンネルの中で、グラフィティ・ライターの集団に出くわす。前に描いた作品の上にスプレーを吹き付けて、新しい作品を上書きしている。Issey Miyakeのドレスを纏ったFaniaは、塗料の臭いのせいで、酔っ払ったようにふらふらしている」

  • 写真: Maxime Ballesteros
  • スタイリング: Jen Gilpin
  • モデル: Celyn Smyth, Fania Fuchsia Folaji, Maxine Anastasia